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市民の要望から誕生!ガルシア・マルケスの名を冠した、バルセロナの公共図書館

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回はバルセロナの気になるサービスを紹介。

photo: Junko Sakai / text: Yuki Nakamori / edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.市民の長年の要望で実現したプロジェクト。
2.南米文学に特化。45,000冊の蔵書を有する。
3.約4,000㎡、6フロアの建物に様々なスペースが。

ガルシア・マルケスの名を冠した、市民が集う公共図書館

バルセロナ東部のサン・マルティ地区は労働者や南米からの移民が多く住むエリアとして知られている。そして同地区に湧き起こった「大きな図書館が欲しい」という市民の声がきっかけとなり、2022年5月にオープンしたのが〈ガブリエル・ガルシア・マルケス図書館〉だ。

ノーベル文学賞作家のガルシア・マルケスは、故郷のコロンビアを離れ、1960年代後半からバルセロナに8年間滞在。同館は当時彼の手助けをした出版エージェント、カルメン・バルセルと共に、2人に敬意を表する形で新築。開業にあたり所在地の通り名は「カルメン・バルセルズ広場」に変更された。45,000冊に上る蔵書は南米文学に特化している。

ガブリエル・ガルシア・マルケス図書館の館内
吹き抜けがあり開放的。ソファやテラス席、グループ席など250席ほど。

マドリードの建築事務所SUMA Arquitecturaが設計を手がけた建物は、中央の吹き抜けと自然光が燦々と差し込む大きな窓、シンプルな白が特徴的だ。高床式の基礎の上に建てられ、外観は積み重ねた本と白いページをイメージ。昨年IFLA(国際図書館連盟)の公立図書館オブ・ザ・イヤーや、スペインのFDA(芸術デザイン振興協会)の建築インテリア賞を受賞し、建築物としても見応えがある。

空間のバリエーションもユニークで、ロッキングチェアやハンモックのコーナー、カーテンで仕切られパソコンを持ち込んで仕事ができるスペース、キッチンや講堂、キッズスペース、ラジオ局のスタジオまで。地域住民の憩いの場として賑わっている。

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