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シュルレアリスムの目利きが書斎で眺めたオブジェたち。富山県美術館の瀧口修造コレクション

集めたものを「独自の記念品の貼りまぜ」と捉えていた気鋭の美術批評家と、蒐集品(しゅうしゅうひん)を「良き友」と語った画家。その膨大なコレクションと出会えるのは、彼らが育った町の美術館だ。芸術家が見ていた世界に触れる体験を。

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illustration: Yoshifumi Takeda / text: Masae Wako

シュルレアリスムの目利きが書斎で眺めたオブジェたち

富山県美術館/瀧口修造コレクション(富山/富山市

作者不明のオブジェ、誰かと交換したビー玉、マルセル・デュシャンらの作家から私的に贈られた作品も。「これ何?」と好奇心をそそられるものが次々目に入る、興奮必至の小宇宙。それが〈富山県美術館〉にある瀧口修造コレクションの展示室だ。

日本におけるシュルレアリスムの紹介者である瀧口にとって、オブジェとは、絵画や彫刻という旧来の分類を脱出するために見出された新しい領域でもあった。

「私の部屋にあるものは蒐集品ではない。その連想が私独自のもので結ばれている記念品の貼りまぜである。(略)それらはオブジェであり、言葉でもある。永遠に綴じられず、丁づけされない本。壁よ、ひらけ!」( 瀧口修造『余白に書く』みすず書房)

ビタミン用容器。作者不明のオブジェ。木箱にガラス瓶。

瀧口修造採集《Tender Buttons》。ガートルード・スタインの詩集『Tendor Buttons』の名を持つボタン店の品。1973年採集。

モルフォ蝶の標本。

瀧口修造採集《フィレンツェで取得したビー玉》。1958年採集。

ヒヨコの入った小卵。本物の卵の殻、紙、モール製ヒヨコ。

熊形のテラコッタ。作者不明のオブジェ。高さ約12㎝。

アンティークのピン。紙箱入り。

小さなゴム人形。紙箱入り。

Ismo Kajanderデザインのアダムとイヴ。木製。高さ各17㎝。

チェスボードと駒。盤は12㎝角。

《For Star of Sagittarius(射手座の星に向かって)》。1968~69年。瀧口の依頼により、版画家の加納光於(みつお)が雑誌『本の手帳』用に制作。

ミニカー。金属製。全長6.2㎝。

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