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世界からお届け!SDGs通信 ウェリントン編。保育費を政府が負担

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE?  CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はウェリントンから!

text: Mari Clothier / edit: Hiroko Yabuki

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規定の保育費を政府が負担する”20時間ECE制度”が浸透

”20時間ECE制度”とは、3~5歳の子どもが幼児教育施設に週20時間以上通う場合、1日6時間まで、週に20時間分の保育費を教育省(政府)が負担するシステム。2007年、労働党内閣時に始まった。

当時3、4歳児の70%、約6万5000人が幼児教育施設に通っていた。教育省の負担は、当時子ども1人あたり、4500NZドル(約3万8000円)。幼児教育施設で教育を受けた子どもは、学校教育をはじめ、人生を通して成功する確率が高まるといわれており、その機会をすべての子どもが享受できるようにという理由で開始された。

幼児教育施設とは、保育園、幼稚園、ホーム・ベースト・ケア(教育者が自宅を開放し、2、3人の少人数の子どもを預かり、保育する)、プレイセンター(有資格の教育者ではなく、保育している子どもの保護者が教師となって、子どもを保育する)、コハンガレオ(マオリ語のイマージョン幼児教育施設)などのことだ。20時間ECEは保護者の収入などとは関係なく、3~5歳の子どもすべてに適用される。20時間すべてを使わなくても構わない。また2つ以上の施設に通う場合は、20時間をどちらにどう分けても問題ない。

この制度は現在、国民の間に定着している。幼児教育は義務ではないが、95%の子どもが、多くのケースで週に20~22時間、幼児教育を受けるようになっている。

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