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世界からお届け!SDGs通信 トロント編。観光客と生産者を繋げる〈Culinary Tourism Alliance〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はトロントから!

text: Hatsuki Matsuki / edit: Hiroko Yabuki

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有数のマルチカルチャー都市が狙う、ローカルな食体験の発展と提供

トロントは人口の約半数が他国出身者。市内にはイタリア、ポルトガル、ギリシャ、ポーランド、アイルランド、インド、中国、韓国、そして日本といった世界各国の人々や店が集まるエリアがある。それぞれの文化が融合するのではなく、むしろ点在する「モザイク都市」と呼ばれ、英国BBC放送のデータ調査では「世界で最もマルチカルチャーな都市」と銘打たれた。しかし世界中の文化を楽しめる一方で、トロントが位置するオンタリオ州独自の体験を観光客に促す取り組みも重要視されている。

〈Culinary Tourism Alliance〉はフードツーリズムを通じ、地域独自の食体験の発展を支援する。例えば、地元の食材を積極的に取り入れ生産者に貢献するレストランにはFeast On®という認証を与え、観光客へのリーチを促す。加盟店は可能な限り地元の食材を調達し、販路と産地、生産者まで追跡する。オウンドメディアやSNSを活用し観光客に情報を届け、レストラン側も認証を積極的にアピールする。

さらにエンターテインメント性を高めるためFeast On®と連携したパスポートアクティビティ「THE GREAT TASTE OF ONTARIO」を展開。このシステムを活用して加盟レストランや生産者を訪れると、地域で使用可能なお得な商品券が手に入る。さらにオウンドメディアでは野菜やフルーツの収穫体験、ファームでの動物との触れ合い、冬にはクリスマスツリーを自分で切る体験など、地元の生産者が提供する魅力的なアクティビティも紹介している。同地ゆかりの音楽を集めたSpotifyのプレイリストも提供し、“オンタリオ体験”のさらなる充実をはかる。

トロントのマルチカルチャーな性質は魅力的であるが、地域独自の個性にスポットを当てた観光がさらに発展していくことも楽しみだ。

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