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世界からお届け!SDGs通信 テルアビブ編。増税政策で“脱”使い捨てプラ容器!

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はイスラエル・テルアビブから!

text: Hatsuki Matsui / edit: Hiroko Yabuki

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使い捨てプラスチック容器に追加課税!価格が倍になり、ビーチでの使用も禁止に

イスラエルの環境保護省の発表によると、イスラエルは世界で最も使い捨てプラスチックの消費量が多い国の一つだ。同国1人当たりの使い捨てプラスチックの使用量は、EU全体の1人年間平均に比べ約5倍。この状況を打破すべく、イスラエル政府は2021年11月から使い捨てプラスチック容器に対して1kgあたり11NIS(約460円)の税金を課す法案の実施が開始した。これにより多くの製品が倍の値段となった。効果は絶大で、店舗によってはプラスチック製品の売り上げが50%以上も落ちたという。

テルアビブ市は自治体独自の決まりとして、2022年の夏からビーチでの使い捨てプラスチックの使用を禁止した。ビーチでは数メートルおきにゴミ袋が設置されており、さらに清掃員が巡回しクリーンな環境の維持に努めている。市内には自治体が運営するプラスチック製品の回収ボックスのみならず、民間企業による衣類や鞄の回収ボックスも設置されている。

一方で、イスラエルの宗教的なコミュニティは人が集まる食事会をする機会が多く、使い捨て食器の需要がいまだに大きい。プラスチック製品への規制が遅れた理由の一つが、大幅な値上げに対し宗教的活動を制限する差別的な政策として異を唱える人々がいたためだ。今回の政策により、使い捨てプラスチックよりも、木で作られた生分解性のある使い捨て食器の価格の方が手頃になった。使い捨て自体をやめるべきではあるが、窮余一策として需要が後者へ移ることが期待されている。イスラエル政府は大胆でスピーディな政策が得意だ。環境対策に対しても、結果が見えるような有意義な施策が求められている。

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