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世界からお届け!SDGs通信 テルアビブ編。生鮮食品の貯蔵寿命を延ばすパッケージを開発する〈StePac〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はテルアビブから!

text: Hatsuki Matsui / edit: Hiroko Yabuki

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生鮮食品の貯蔵寿命を大幅に延ばす!
30年以上、機能性パッケージを開発する〈StePac〉

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の新鮮な農産物の50%近くが、私たちの食卓に届く前に腐敗し破棄されているという。イスラエル企業〈StePac〉のパッケージは生鮮食品の貯蔵寿命を大幅に延ばし、サプライチェーンや消費者の食品廃棄物を減らす。

同社は水蒸気および酸素と二酸化炭素の透過性を調整した、高度なポリマーフィルムを提供している。パッケージ内の遊離水分を除き、二酸化炭素濃度を上げることで微生物の増殖が抑制され、栄養価と風味が保持される仕組みだ。生鮮食品の寿命を1.5〜2倍延長できるとするが、実際はそれ以上。チリから中国の消費者までさくらんぼを、35日間新鮮なまま届けたことで世界の賞賛を浴びた。

さらに世界23ヵ国以上に生鮮食品とパッケージングの専門家を配置。生産者、包装業者、配送業者へ収穫後の生鮮食品の包装に関するガイダンスを行う。日本の三井物産プラスチックとも取引があり、製品の購入も可能だ。

ポリマーを使用したソリューションを提示する一方で、プラスチックの使用過多には懸念を抱いている。だが同社によると、食品廃棄物の処理は全ての温室効果ガス排出量の約8%を占めており、プラスチックを全く使用しない場合、更なる食料廃棄物が発生し結局悪循環が生じる可能性があるという。無駄なプラスチックは廃止するべきだが、本当に必要なときに高機能なものを活用しながら、包括的な解決に向けて動くべきだと訴える。

〈StePac〉のような“高機能プラ”の開発も偉大であり、一方で“脱プラ”も素晴らしい試みである。問題解決への同じ思いを掲げ、人類一同チャレンジは続く。

StePac

1992年1月にイスラエルにて創業。ガリラヤ地方のTefen Industrial Parkに拠点を持つ。30年以上、生鮮食品の機能性パッケージを開発してきた。SDGsの実現に向け、近年国内外から更なる注目を浴びている。

HP:https://www.stepac.com/

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