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世界からお届け!SDGs通信 台北編。IT大国ならではの電動バス推進政策

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は台北から!

text: Mari Katakura / edit: Hiroko Yabuki

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二酸化炭素の排出量削減のため、2030年までに路線バスをすべてEV化

バス路線網が縦横無尽に張り巡らされている台北。大気汚染が長年の問題となってきたが、台北市では二酸化炭素の排出量を削減するため、2018年から「台北市電動バス推進計画」を実施。耐用年数に達したディーゼルの中古バスを電動バスに置き換え、2030年までには路線バスを全面的にEV化する予定だ。

近年、台湾では電動バスの開発が急ピッチで進められており、iPhoneを受託生産する〈鴻海〉ではグループ会社〈Foxtron〉が開発と生産を手がけている。銀色と黒の近未来的なデザインで、話題の車体「MODEL T」は2022年に日本のグッドデザイン・アワードを受賞している。

肝になる充電設備に関しては〈成運汽車〉が高速充電設備を開発。15分で電池の残量が20%から80%になるという高機能なものであり、継ぎ足し充電や発熱に関しても、最先端の技術が用いられている。

2024年1月からはバス会社〈大都會客運〉が台湾初の室内充電ステーションの運用を開始。これは高度なAI火災検知および通報システムを兼ねており、搭載されたセンサーが煙を検知すると、瞬時に管理スタッフへメッセージが伝えられ、警報を発することができる。

IT大国の強みを生かし、強力に進められていく電動バス事業。長年、台湾の人々を悩ましてきた空気汚染の問題も、過去の話になっていくかもしれない。

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