スマートシティ化計画と、EVの購入促進を徹底!
シンガポールにおける車に関するSDGsな試みとして挙げられるのは、スマートシティ化に伴う交通分野の開発推進と、EV車の積極導入だ。先端技術を活用し、交通やエネルギーなどのインフラが効率的に運用される都市「スマートシティ」。シンガポールは2014年に「Smart Nation Singapore政策」を制定して以来、世界に先駆けたスマートシティの実現に向け、さまざまなプロジェクトを実施している。
その1つが、自動運転のシャトルバス開発。“交通事故のない世界”の実現への足掛かりとなる自動運転技術は、持続可能な開発目標のゴールの1つ「すべての人に健康と福祉を」に合致。スマートシティに加えてSDGsという側面も加わり、自動運転シャトルバスを一部エリアにて試験走行させるなど、同技術を強化中だ。
またスマートシティ技術の研究開発拠点となるべく、当該研究を行う各国企業の招致にも積極的。アメリカの自動運転スタートアップ〈nuTonomy〉による自動運転タクシーの公道でのテスト走行を許可するなど、企業と政府がタッグを組み、新技術を試しながら実用化に向けて動いている。
一方、EVについて。国内の軽乗用車を全てEV化した場合、当地の二酸化炭素排出総量の約4%の削減につながる、またシンガポールの電力の大半が天然ガスで発電されていることからEV転換の持続可能性は非常に高いという2点をもとに、政府は2021年に発表した「グリーンプラン2030」にて、「2040年までに内燃機関車(ガソリンやディーゼル燃料)から、よりクリーンなエネルギー燃料車へと、段階的に転換する(=国内登録車両の100%を環境負荷の少ないものへ)」との目標を設定。この達成に向け、2025年からは新しいディーゼル車とタクシーの登録が不可に。そして2030年からは全ての新車とタクシーをよりクリーンなエネルギーモデルへとシフトさせることが決まっている。
こうしたEV普及拡大に向け、政府は購入を促すためのインセンティブ施策を次々と展開。これを受け、2020年には100台程度だったEVの新規登録車数は、2021年には1740台、2023年には販売台数5467台と、台数を急速に伸ばしている。また充電スタンドを2030年までに国内6万カ所に設置するといったインフラ整備、EVの製造拠点の誘致なども同時に行われていることから、今後のEV市場のさらなる活況に期待が持てる。