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世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。お墓参りは生花で!見直されるプラスチック造花文化

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はソウルから!

text: Reiko Fujita / edit: Hiroko Yabuki

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公園墓地への造花持ち込み禁止が
全国的に拡大

韓国には、年間2000トン以上ものプラスチック造花が主に中国から輸入されている。インテリアとして飾られるだけでなく、お墓に供える花もこれまでは造花が一般的だったが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、生花やドライフラワーを推奨する動きが一気に広がっている。

全国で初めて「公園墓地への造花持ち込み禁止」を決定したのは、韓国の南東部に位置する慶尚南道の金海市だ。2022年1月にホ・ソンゴン金海市長が公園墓地4カ所および韓国花卉自助金協議会と協定を結び、墓参者が増える旧正月シーズンの2月から禁止措置を実施。公園墓地は造花の持ち込み・販売の禁止や墓参客への事前通知、韓国花卉自助金協議会は生花の供給や花束の無料配布キャンペーンなどをそれぞれ担当している。

金海市発の取り組みはその後、慶尚南道全域へと広がり、全国的にも公園墓地への造花持ち込みを禁止する自治体が増えている。Netflixで配信中のドラマ『シスターズ』や『39歳』にも登場した有名霊園〈盆唐メモリアルパーク〉が「2023年からプラスチック造花や石けんでできたシャボンフラワーの持ち込みは禁止」と公式サイトで事前告知するなど、首都圏の大型霊園にも取り組みが広がっている。

しかし、霊園周辺ではいまだに造花ばかりが販売されていて、生花を扱うフラワーショップがないといった問題も。こうした課題が改善され、造花禁止が全国的に施行されれば、年間CO2排出量を500トン以上減少でき、韓国内の花卉産業活性化にもつながると期待されている。

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