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世界からお届け!SDGs通信 パリ編。ユーモアたっぷりの製品で障がいへの「視線」を変える〈ル ルガール フランセ〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はパリから!

text: Motoko Kuroki / edit: Hiroko Yabuki

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障がい者とともに進むベンチャーが、靴下やTシャツに乗せたメッセージとは?

アシンメトリーデザインの靴下など、エスプリに富んだ製品を手掛ける〈ル ルガール フランセ〉。製造から梱包までの作業のほぼ全てに、70人を超える障がい者が関わっている。

フランス産の素材にこだわる、今どきのベンチャーである彼らをユニークにしているのは、“ハンディキャップ”への目線を持ち合わせている点。近年、環境への影響に責任を持ち配慮することを「Responsible」という言葉で表すことが多いが、〈ル ルガール フランセ〉はこれを援用した「ハンディリスポンサブル」なる理念を掲げている。

創業者のケヴィンとヴァランタンは長年の親友。ケヴィンは、車椅子に乗るヴァランタンの生活補助者でもある。「2人は障がいへの視線(フランス語でルガール)を変えるために、ユーモアのある取り組みをしたいと考えたんです」と、社員のオセアヌが教えてくれた。主戦場にアパレルを選んだのは、世間への強い訴求力に加え、縫製や刺繍など、障がい者の技能を活かしやすいからだ。

障がい者雇用は、適応企業(障がい労働者を80%以上の割合で雇用する企業)や労働支援機関・サービス(通常の企業等での就労不可能と判断された障がい者の就労を担う)と提携して行う。それ自体は珍しくはないが、〈ル ルガール フランセ〉の場合は、業務の多様さと障がいへの深い理解が特徴だ。

「雇用は、彼らのスキルアップのためでもあります。しばしば障がい者には箱詰め作業などの限定的業務しか割り振られませんが、本当はもっとできることは多い。私たちの使命は、障がいのある人たちの競争力をしっかり評価し、社会に還元していくことなのです」とオセアヌ。

企業活動を通じて、障がい者と健常者の垣根を取り払う。創業者ペアの強い絆で、新しい未来が見えてきそうだ。

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