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世界からお届け!SDGs通信メキシコ編。境界のない街づくりへ。中南米最古のエコビレッジ

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメキシコから!

text: Miho Nagaya / edit: Hiroko Yabuki

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旅する劇団が築いたパーマカルチャーの輪を、世界へとつなぐ

メキシコシティから車で約1時間ながらも豊かな自然にあふれるモレーロス州テポストラン。人気の避暑地で、古来先住民ナワトルの居住区であった同所にエコビレッジの〈Huehuecoyotl〉がある。

メキシコを含む中南米、北米、欧州などの多国籍メンバーにより結成された移動劇団が、1960年代後半から世界のさまざまな場所を旅した末に1982年に設立。現住人は20人だが、エコビレッジを学ぶための生徒たちが滞在していたり、ビレッジ内の家を短期で借りて住む人たちもいて常に流動的だ。共同施設には、調理場、ワークショップやコンサートもできる講堂、菜園があり、ビレッジ内の14の住宅同様に滝の水や雨水利用や、排水のリサイクル、太陽光エネルギー、ドライトイレを使った宿泊施設もある。

近隣の先住民コミュニティ向けに、インターネットなどのテクノロジー面のサポートや、共助しながらの農業も行う。これまでに学校、民芸品職人の組合、地元の生産物を売るショップなどを立ち上げ、エコツーリズムを牽引。テポストランの観光業の促進にも貢献した。さらに一般向けにエコビレッジの作り方のセミナーや、内外のアーティスト、セラピスト、環境、生物学者など幅広いネットワークを駆使してのワークショップやイベントを行う。

今後〈Huehuecoyotl〉に影響を受けたエコビレッジが、世界のどこかで生まれることもあるだろう。彼らの街づくりは境界を超えて続いていくのだ。

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