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世界からお届け!SDGs通信 ベルリン編。400年の歴史を持つ伝統工芸〈ラウシャ〉の繊細なガラス製品

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はベルリンから!

text: Akiko Watanabe / edit: Hiroko Yabuki

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サステナブルな工芸品を、よりサステナブルな生産環境から

ドイツ中央に位置するチューリンゲン州の森の中にある小さな町、ラウシャ。ここは古くからガラス産業の中心地として栄え、その始まりは1597年まで遡る。人口4000人ほどのラウシャでは、今も多くの就労者がガラス職人として数百年前から変わらない伝統的な技法とツールで手作りのガラス製品を生み出している。

古い時代は巧妙に作られたガラス製の義眼が良く知られたが、今日最も有名なラウシャのガラス製品はクリスマスオーナメント。丁寧に取り扱わないと簡単に割れてしまう繊細なものも多く、その特別感と手作り特有の素朴な温かみを持つ様々なデザインは世界中で愛されている。他にもガラス製ストロー、コップやピッチャーなど、リサイクル可能な実用品も豊富だ。

伝統を守り続けているラウシャにある数々の工場でも近年、エネルギー効率向上対策の必要性が高まっており、チューリンゲン州とEU連合の共同出資によるプロジェクトの一つとして、生産現場のエネルギー効率化のアドバイスと全ての照明をLEDに変更することにより、ガラス産業を支える町全体のエネルギー収支が改善されている。元来サステナブルな手作りという形で継続されてきたガラス生産と、そして持続可能なラウシャの工芸ガラスは時代の変化に応じながら、末長く受け継がれていくことが望まれている。

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