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世界からお届け!SDGs通信 オークランド編。新設ライトレールにより住民の生活が向上

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はオークランドから!

text: Mari Clothier / edit: Hiroko Yabuki

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ライトレールの新設でインフラ改善!住民が安心して住める環境を整備

NZ国内の最大都市・オークランドで現在準備中なのが「ライトレール・プロジェクト」だ。2つの重要な雇用拠点である市内中心部とオークランド空港を繋ぎ、従来バスや車でなければ移動できなかった区間に、効率の良い新たな移動手段を提供することになる。

そのコストの見積もりは約146億NZドル。交通渋滞、都市部のスプロール化(無秩序な拡大)、大気汚染といった問題に対処するための取り組みかつ将来への投資とも考えられており、市民の声を取り入れつつ、準備が進められている。

都市再生を図るための住宅計画が進行中のエリアを走るため、インフラの改善や、既存の近隣社会の活性化も期待される。通勤の負担を最小限に抑えられるエリアを整備し、そこに安心して住めるような環境をつくることで、住民の生活向上が見込まれているのだ。

具体的にはむこう30年間のうちにオークランドの人口の17%、雇用の33%の増加が、このライトレール沿線上で起こると推測されている。さらにライトレールを利用することで、今まで交通渋滞のために奪われていた、市内住民平均で年間80時間ほどの貴重な時間を取り返し、家族と過ごす時間にあてることができるようになるという予測も。

同時に沿線地域での移動時間は最大で半分にまで短縮。車1万4500台を減らせる計算になり、その分のCO₂排出量の削減も可能にする。ライトレールの駅数は計18あり、運行は5分おきに行われる予定になっている。準備期間にはさらに2〜3年、完成は約10年後と予想されている。

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