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世界からお届け!SDGs通信 メキシコシティ編。誰もが働きやすい多様な社会を目指す民間非営利団体〈APAC〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメキシコシティから!

text: Miho Nagaya / edit: Hiroko Yabuki / 写真提供: ©︎APAC, I.A.P. / 取材協力: Carlos Castañon

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母親たちのグループ活動が、中南米随一の障がい者支援組織に

行政の障がい者支援や補助がほぼないメキシコで、1970年に脳性麻痺の子どもを持つ母親たちが、助け合うために始めたのが、民間非営利団体〈APAC, I.A.P. Asociación Pro Personas con Parálisis Cerebral(脳性麻痺所持者支援協会)〉(以下APAC)だ。当初はメンバーの自宅車庫を使い、子どもたちの教育やリハビリのために始動したが、現在は幅広く障がい者を受け入れ、乳児から60歳までの500名以上を毎日ケアする中南米最大級の組織となった。同所内のベーカリーは、商品を販売するだけでなく、職業訓練所としても機能する。また在所者の就職の斡旋や、雇用後の1年間は就職先に出向いてのケアも行う。

インクルーシブ労働部門のディレクター、マリア・マルガリータ・ガルシア・メディーナは、31年APACに勤務するが、この国の障がい者の労働環境は整っていないと感じているそうだ。国の人口の25.2%にあたる112万以上が障がい者だが、何らかの職についているのは30%に満たない。

「メキシコでは企業での障がい者の雇用枠(全体の5%)が義務付けられていますが、就職してもすぐに辞めてしまう人が多い。雇用側も、障がい者に対してのコミュニケーションのとり方がわからずに、両者の溝が深まるので、企業向けにインクルーシブについての講座も行っています」

障がい者たちが就職する困難さを鑑み、彼らが自営で仕事ができるよう、APACでは手工芸品やパソコンの講座も開講している。30年以上前にメンバーたちにより結成された、メキシコの伝統的なエストゥディアンティーナ音楽の楽団は、全国各地のコンサートホールで公演を行うまでにいたっている。

「障がい者たちは日々、社会システムの壁と向き合っています。彼らが自立し、より良い人生を送れるような公平な社会を目指すためにも、インクルーシブ労働は極めて重要なのです」

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