自然の恵みを蒸留酒の形で表現する
1年を通して、様々な素材を使って蒸留酒をつくる〈mitosaya薬草園蒸留所(以下、mitosaya)〉。
「小さいけれど味わいの詰まった、キウイだけのオードヴィー」「自然栽培のリンゴを、吉野杉の木桶で仕込んでつくったアップルブランデー」「イタリア北部エミリア・ロマーニャ州名産の濃褐色のクルミのリキュール」──。
各商品の説明文には、旬を迎えた四季折々の植物の豊かな香りが込められている。
千葉県大多喜町にある〈mitosaya〉は、発酵からボトリングまでを一貫して行うマイクロでクラフトな蒸留所。ブランデーやオードヴィーに魅せられた江口宏志さんが、蒸留家修業のために家族でドイツに渡ったのは2015年のこと。翌年、帰国した江口さんたちは、かつて薬草園だったこの場所に引っ越してきた。
もともとあった施設に少しずつリノベーションを施しながら、2018年に念願の蒸留所を開設。mitosayaと名付け、これまでに200種類ほどの蒸留酒を世に送り出している。
蒸留酒づくりには、敷地内で育つ植物に加え、様々な場所で採れた旬の素材を使う。「キウイは栃木県那須のもの。リンゴは山形だったり青森だったり。クルミは南房総の山のものです」と江口さん。
縁あってつながった各地の作り手から素材を譲り受け、蒸留酒にしてボトルに詰めて形にする。蒸留酒もそれ以外の商品も、何をつくるか、何ができるかは、その時々に手に入る素材に委ねられている。
香りを届ける〈mitosaya〉のものづくり
〈mitosaya〉が得意とするのは、果物などを発酵・蒸留してつくる蒸留酒。蒸留酒は、嗅覚を通じて感じる甘さ、味わいをいかに豊かに引き出せるかがその醍醐味だとか。
「蒸留酒は基本的には無色透明。酸味や苦みもあまりない“香りのお酒”です。土地の恵みそのままを、香りとして引き出したり、閉じ込めたり。自然の状態に近い原料を使うことで、より豊かな香りになります」と江口さん。
そこで重要なのが素材選び。見た目ではなく、香りをいかに表現できるかを重視して仕入れる。
江口さんは、「リンゴなら、形は良くなくても、虫食いがあっても、強烈なパワーがあるものがいいですね。新鮮で深い味わい、香りが強いものを使いたい。そんな素材を使わせてもらえれば、蒸留酒はおのずといい仕上がりになります」と語る。
もうひとつ重視しているのが素材の新鮮さ。2022年から〈mitosaya〉でつくっている「アグリコールラム」は、収穫直後のサトウキビを搾汁し、新鮮な状態で発酵させることで、フレッシュな香りや風味を引き出す。大多喜町の隣にあるいすみ市のサトウキビ農家から分けてもらうからこそ、収穫直後の新鮮な状態で加工でき、フルーティで軽やかな口あたりと繊細な甘みを表現できる。
素材との出会いに欠かせないクルマ
素材は、収穫された状態でピックアップすることもあれば、農家の人々と一緒に収穫して持ち帰ることもある。サトウキビの場合は、刈り取って搾り汁の状態にした状態で分けてもらうので、クルマの荷台に120リットルほど入るタンクを2、3個積んで、農家さんのもとを訪れる。いずれにしても、〈mitosaya〉にとってクルマは蒸留酒づくりに欠かせない道具のひとつだ。
今回、蒸留酒づくりをサポートする一台としてピックアップしたのは、シトロエンの〈ベルランゴ〉。運転してサトウキビ畑に向かう途中、江口さんは「田舎道を走るのは、信号は少ないし、気持ちいいものです。〈ベルランゴ〉は走りが安定していて、運転がより楽しくなりますね」と満足そうに話す。
大きな荷室を備える〈ベルランゴ〉は、様々な素材の運搬にも役立つ頼もしいパートナー。3列目のシートを外し、フルフラットになる助手席と2列目のシートを倒せば、3メートルを超えるサトウキビも難なく収まる。
機能性とともに目を引くのが、そのカラーリングだ。この〈ベルランゴ〉は、日本限定色の「アクアグリーン」を採用した特別仕様車。緑の風景に調和する、薄い緑のクルマが畑の間のあぜ道を走り抜ける。
山本さんは、「このサイズのミニバンって、あまりかわいい色がないものですが一目で可愛いと思いました。自宅で使っている、韓国出身の陶芸家、李英才(リー・ヨンツェ)さんの器の色味のような、明るくて薄くてニュアンスのあるグリーンがもともと好みです」と話す。
DNAを継承し、暮らしに寄り添う〈ベルランゴ〉
サトウキビ農園からの帰り道、ハンドルを握った山本さんは、「乗り心地もいいですね。常にバランスを保ってくれるような感覚で、でこぼこ道でも揺れがマイルドです」と話す。助手席に座る紗也ちゃんも、「揺れが少なくて、酔いにくいような気がしました」とうれしそうに語る。
シトロエンは、フランスでもっとも多く生産された名車〈2CV〉で知られるフランス生まれのカーブランド。〈2CV〉には、カゴに入れた生卵を載せて荒れた農道を時速50kmで走っても、卵が割れない乗り心地を目指し、農家の人々の足として開発されたという逸話がある。
3列シート、7人乗りの〈ベルランゴ〉。荷物も人もたくさん運べる高いユーティリティーに、様々な路面に対応した快適な乗り心地。軽油1リットルで20kmほど走る経済性の高さからも、暮らしに寄り添った存在といえる。
シトロエンが長年培ってきたDNAを、〈ベルランゴ〉も確かに継承しているようだ。
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