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大人が着たいカシミヤを探して。〈BODHI〉

冬になると、あたたかさが抜群のカシミヤセーターを着たい。とはいえ、大人が着るべきカシミヤとはどんなものだろうか?カシミヤアイテムに定評のある日本のブランドが考える魅力と新たな可能性を探った。

本記事は、BRUTUS「GOOD STYLE for Mr. BRUTUS 冬のあたたかい服。2024-25 A/W」(2024年9月17日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

photo: Hiromichi Uchida / text & edit: Shigeo Kanno

ブランドの原点ともいえるカシミヤスエット

デザイナーの水谷倫さんが手がける〈ボーディ〉は、カシミヤ素材を使った定番アイテムが人気。カシミヤのラグジュアリーさとは別のアプローチでデイリーなアイテムを作り出す。なぜ、カシミヤなのか?その理由を伺った。

「もともとは、普通のスエットを作りたかったのですが、あえてカシミヤで作ったらどうだろうと考えました。カシミヤでスエットを作る手法がまだ存在しなかった当時、試行錯誤の末、ニットの作り方から着想を得て完成させたのがヘビーウェイトのカシミヤスエットです。厳密に言うとスエットの特徴を生かした編みでニッティングした“ニットに見えないニット”なんです。偶然の産物ですが、結果的にその一着が今までにないものとして注目されたんですね」

水谷さんが着用しているのは、コットン・カシミヤ・シルク混紡のカットソー。冬になると毎日カシミヤアイテムを着用する。

水谷さんが語るように、見た目は、スエットのようなカジュアルな印象だ。だがしかし、カシミヤの着心地である。「今までのカシミヤセーターは、軽くて柔らかくてあたたかいというのが常識でした。僕は、真逆のアプローチで、重めで肉厚で、だけど快適という方向性に向かったんです。それがオリジナリティとして評価されたんだと思います」

今までにはなかったカシミヤの新しい使い方を提案する水谷さんは、さらにその魅力を語った。「いろいろな天然素材がありますが、僕の感覚では、カシミヤのコストパフォーマンスが抜群に高いんです。作り手側としても消費者目線としても素材の稀少性、実用性、機能性、そして値段を含めて非常にバランスがいい。それがカシミヤを扱う理由の一つです」

〈ボーディ〉のカシミヤは、内モンゴル産。水谷さんは、現地に出向き、さまざまな情報を得る。

「カシミヤヤギは、内モンゴルの同一エリアで飼育されています。ストレス度合いで毛質が変わったり、気候によっても毛質に影響が出たりするんです。人間と同じで、狭くて環境の悪い場所に棲(す)んでいたらストレスがたまります。逆に言うとそれが天然素材の面白さでもあります。そうやって生産されたカシミヤをどう使うかというのは、デザイナー冥利に尽きるし、興味深い面でもありますね」

定番のカシミヤスエットから次の一着へ。水谷さんの探究は続く。

ブラウンとネイビーのミドルウェイトクルーネック各132,000円(ボーディ/アルファPR TEL:03-5413-3546)
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