和歌山が誇る絶景ロード、日本のヴェネチアetc. 愛車で行きたいショートトリップ

愛着あるマイカーでの旅の醍醐味は、時間や場所の制限なく楽しめること。日本各地をドライブしてきたクルマ好きたちが、今クルマで行きたいショートトリップ先とは。

photo: Yu Inohara / text: Mikiko Ichitani, Ayako Nozawa

山の上への通院ついでに自分だけの寄り道。日常の合間の自分時間ドライブ

内田宙司整形外科

内田宙司整形外科
中には、朝倉さんが日本人で一番尊敬する造形作家集団、ゲルチョップなど数々のアート作品が。待ち時間も楽しい。写真提供:内田宙司整形外科

体に不調が現れた時、信頼できる治療を求めてわざわざクルマで通院してみたい!と思える場所があります。普段の運転頻度は週に2、3回、子供を送迎する程度の私が自分のためにクルマを出したい場所とは、横須賀にある〈内田宙司整形外科〉。テニスで股関節を痛めて以来いつか行ってみたいと思っている山の上にあるクリニックです。せっかくのドライブチャンス、早めに出発して午前中には診察を終え、近くをクルマで巡りたい。

お昼は鎌倉の〈フォー ラスカル〉へ。そこで働く友人との再会を楽しんだら、鎌倉の〈LONG TRACK FOODS〉に寄ってお買い物するのも外せないですね。海辺の爽やかな風景に合わせたBGMを流しながら優雅に過ごしたいけど、プレイリストを作り忘れることも多いから、結局YouTube(プレミアム会員なのでバックグラウンド再生が可能)で都市伝説やTBSラジオを聴いているかも(笑)。日常を非日常的に楽しむドライブが理想です。

馬力があって小回りが利くフォルムに惚れ込んだアウディ「Q2」。ドイツ車らしい堅実な走りの「真面目な相棒」。
馬力があって小回りが利くフォルムに惚れ込んだアウディ「Q2」。ドイツ車らしい堅実な走りの「真面目な相棒」。

和歌山が誇る絶景ロードで英国スポーツカーのエンジンを響かせる

高野龍神スカイライン

高野山と龍神温泉を結ぶ全長42・7㎞の山岳道路
高野山と龍神温泉を結ぶ全長42.7㎞の山岳道路。10月下旬から11月上旬にかけて色づく紅葉シーズンも絶景。写真提供:公益社団法人 和歌山県観光連盟

ロードトリップといえば和歌山県の熊野地方まで行くのがいつものルート。早朝5時に東京を出て、伊勢湾フェリーで伊良湖から鳥羽へ。このクルマは一般的な規格に比べて車高がかなり低い。安全を保証できないとフェリーの係員に渋られても、結局自己責任という形でわがままを聞いてもらい乗船。旅の一番の目的は、絶景の山岳路〈高野龍神スカイライン〉。

去年は土砂崩れで封鎖中だったので今年こそリベンジしたい。でもその前に、着いたらまず毎年訪れるのが恒例になっている〈那智の滝〉に向かいます。走り慣れた道を通って串本の宿で1泊。翌日にお目当ての〈高野龍神スカイライン〉に行くのが理想のコースです。ちなみに、先述した通り車高がかなり低いから、ラフな山岳路でフロントリップをこすって外れてしまうのが日常茶飯事。ガムテープは必ず携帯しています(笑)。手はかかるけど、大自然を軽量なロータスで走り抜ける気持ちよさは何にも代え難い。

愛車のロータス「エキシージ・スポーツ410」は基本純正仕様。少しずつアップデートしながら今年で5年目。
愛車のロータス「エキシージ・スポーツ410」は基本純正仕様。少しずつアップデートしながら今年で5年目。

僕の好きな空間と行く温泉・アート・食、すべてを詰め込んだ自由な日帰り旅

ほったらかし温泉

棚山の標高約700m地点にある温泉施設。甲府盆地や富士山を眺めながら入浴できる2つの露天風呂が魅力。
棚山の標高約700m地点にある温泉施設。甲府盆地や富士山を眺めながら入浴できる2つの露天風呂が魅力。写真提供:ほったらかし温泉

僕にとってドライブは、自分の空間を外に持ち出せる感覚ですごく居心地がいいんです。好きな音楽を聴いたり、好きな本を読んだり、好きな人たちと過ごしたり……。

このクルマで今一番行きたいのは、山梨の〈ほったらかし温泉〉。去年の誕生日に仲良しの友人2人が連れていってくれて、夜景の綺麗さに感動しました。今度は2人を誘って早朝の景色を見に行ってみたい。

朝が早いドライブ旅のお供には、コンビニのブラックコーヒーとブラックブラックガムが必需品です。朝一で温泉を満喫したら、敷地内の食事処で豚汁を一杯。きっとすごく染みるんだろうなぁ。そのあとは1966年に建てられた丹下健三建築の〈山梨文化会館〉を見に甲府にも行きたいです。作家性を強く感じさせるダイナミックな外観がかっこいい。最後は〈蓬来軒 本店〉で、本家の支那そばを食べてから東京に戻る。こんなに充実しているのに、お昼過ぎには東京に帰ってこられる距離感もいいですよね。

一目惚れしたルノー「カングー」の初代後期モデル。おもちゃのようなデザインがたまらなく愛おしい。
一目惚れしたルノー「カングー」の初代後期モデル。おもちゃのようなデザインがたまらなく愛おしい。

目指すのは日本のヴェネチア。サーフボードを積み片道約7時間半のヒーリングトリップ

伊根の舟屋

1階は舟のガレージ、2階が居室となった伝統的な建物構造。伊根湾の5㎞にも及ぶ周囲に約230軒の舟屋が立ち並ぶ。
1階は舟のガレージ、2階が居室となった伝統的な建物構造。伊根湾の5㎞にも及ぶ周囲に約230軒の舟屋が立ち並ぶ。写真提供:伊根町観光協会

サーフィンやスノーボードが趣味だと、いい波や雪質を求めて3〜4時間運転するのが普通だから、長距離ドライブは苦にならない(20代の頃はクルマで東京から九州まで行ったことも!)。北海道でキャンピングカーを借りて、5泊かけて北海道を巡る旅も楽しかったですね。

そんな私が次の行き先に狙っているのが京都府の〈伊根の舟屋〉。いつもは波に乗る側だけど、伊根湾の穏やかな波を眺めながらおいしいものを食べて、ちょっと落ち着いて過ごせそう。日本三景の一つ〈天橋立〉も伊根の舟屋からクルマで約30分で行けるので、セットで訪れたいです。遠出の時にいつも立ち寄るのがパワースポット。天橋立近くの〈丹後一宮 元伊勢 籠(この)神社〉などその土地の神社のお参りも欠かせません。

クルマにはいつもサーフボードを積んでいくので、〈丹後半島〉のサーフスポットに吸い寄せられている未来も見えます。結局サーフィンが目的になっちゃうのも私らしいということで(笑)。

2020年に購入したボルボ「V90 クロスカントリー」。趣味のサーフィンやスノーボード、仕事の移動に欠かせない。
2020年に購入したボルボ「V90 クロスカントリー」。趣味のサーフィンやスノーボード、仕事の移動に欠かせない。

道中も大充実の日本海トリップ。年季の入った愛車と一緒にどこまでも

佐渡島

四季折々の雄大な自然と歴史深い観光スポットが多く点在する日本海側で最大の離島。名物グルメも大充実。
四季折々の雄大な自然と歴史深い観光スポットが多く点在する日本海側で最大の離島。名物グルメも大充実。写真提供:佐渡市

2021年に購入したいすゞ「117クーペ」は、すでに生産が終了しているということもあり、周囲の視線を感じることも多いのですが、私にとってはフィットする乗り心地が魅力の相棒のような存在。古いクルマだからと気負わずに、どこへでも一緒に行っちゃいます。

次は一緒に日本海側を目指したい。旅の目的地は友人が誘ってくれた〈佐渡島〉。島の絶景や数々のアクティビティはもちろん、行き帰りの道中も充実していて、楽しいドライブになりそう。車内では、ご当地のフルーツやポテトチップスなどを買い込んで、選曲ゲームやイントロクイズをするのがお決まりの楽しみ方。

コーヒー休憩に〈沼垂(ぬったり)テラス商店街〉に立ち寄ったり、〈法師温泉〉など、道すがらの温泉をいくつかはしごしながら、最終のフェリーで〈佐渡島〉へ。現地出身の友人と一緒にキャンプや山登りをしたり、絶景スポットの〈二ツ亀〉で泳いだりと佐渡の自然を満喫したいです。

道木マヤさんといすゞ「117クーペ」
1979年製のいすゞ「117クーペ」は、イタリア人デザイナーの美しいカーデザインが多くの人々を虜にした名作。