2025年に創業95周年を迎えた老舗眼鏡メーカー〈パリミキ〉が、新たなアイウェアブランド〈by eye〉を立ち上げた。“日々の景色をやわらかく整える、体の一部”を目指し、眼鏡の視力矯正の道具としての役割を一度解きほぐしたところから始まったシリーズだ。
象徴的なのは、全11モデルの各名称がさまざまな言語の“光”を表す言葉になっている点。日本語をはじめ、フランス語、スペイン語、ヒンディー語など、世界各国の言葉で表すことで、光に国境がないように、国や世代を超えて届く普遍的な感覚を眼鏡へと重ねた。光は、ものを見るために欠かせないもの。そのシンプルで揺るぎない原理に立ち返り、ブランドの思想を構築している。
どのモデルもデザインは極めてベーシックだが、細部には繊細な感性と技術が宿る。モダンの内側に刻まれた水面の波紋を思わせる起伏、ネジトップに配した淡いブルーのアクセント、鼻パッドには小さな「LOVE」。一見するとわからないほど控えめなディテールは、日常に潜む小さな楽しさを表現した。
製造には長く眼鏡作りに携わってきた〈パリミキ〉の職人技が活かされている。数十年分のアーカイブを手がかりに形を選び、かけ心地を最優先にした厚みやバランス調整を重ね、手作業で施すマット加工や細部の研磨には、多くの試作を重ねた。派手さよりも丁寧さを積み上げる姿勢が、ブランドに静かな説得力を与えている。









