アイリッシュウイスキーの歴史を体現する
「エメラルドアイランド」とも呼ばれる緑豊かな島、アイルランド。この島の最北端に、1608年に創業した世界で一番歴史の長いアイリッシュウイスキーの蒸溜所・ブッシュミルズはある。近隣の海岸線に広がるのは、伝説の巨人が歩いた石道といわれるユネスコの世界遺産「ジャイアンツ・コーズウェイ」。蒸溜所のほど近くには、名前の由来ともなったブッシュ川が流れる。こうしたアイルランドの壮大な自然をボトルの中にぎゅっと詰め込んだウイスキー、それがブッシュミルズなのだ。
飲み口は軽やかでスムース。それでいて、モルトの味わいはしっかり。こうしたブッシュミルズの洗練された味わいは、アイリッシュウイスキーの伝統的な製法である3回蒸溜によって生み出されている。さらに、バーボン樽、シェリー樽、マルサラ樽、ポートワイン樽などさまざま種類の樽を緻密に使い分けることで、個性豊かなウイスキーに仕上げていくのだ。また、飲み口が柔らかいので、食中酒にもピッタリ。こうしたブッシュミルズの魅力は世界中に広がり、近年は「知る人ぞ知るウイスキー」として人気が高まっている。
ブッシュミルズを飲む前に、知っておきたいいくつかのこと
BUSHMILLSの世界を体験できるバーが銀座に
ブッシュミルズを気軽に楽しめる場として10月25日から12月22日まで銀座でオープンしているのが、「BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR(ブッシュミルズ カスク ディスカバリー バー)」だ。建物に入ってすぐに目を引くのは、このイベントのために空輸したという30年の熟成に使用したペドロヒメネス樽。年季の入った重厚なルックスは圧巻で、この空間でひときわ存在感を放つ。実際に香りを体感してみると特有の甘い香りが鼻を抜け、ブッシュミルズの味わいへの期待感を膨らませてくれる。
メニューに並ぶカクテルやハイボールはすべて、アンバサダーである銀座「bar cacoi」大場健志さん、京都「Scotch & Branch」辻英和さんが、このポップアップのために特別に考案したもの。「ブッシュミルズの魅力は、アイリッシュウイスキーの特徴であるスムースな香りと伸びの良さがうまく引き出されていること」と、大場さん。
「今回用意したカクテルはいずれも、ブッシュミルズのリッチで滑らかな味わいと、飲み心地の良さを堪能できる味わいに仕上げました。また、現地の風景や、そこで暮らす人々から愛されているものをヒントにしつつ、クラシックをツイストしたカクテルもいくつか考えました」
1階と地下1階とでは異なるコンセプトでブランドの世界観を表現していることも、このバーの大きな特徴だ。1階では、ウイスキーに興味を持ち始めたばかりの人や、カジュアルに楽しみたい人に向けた爽やかな飲み口のカクテルが揃う。
例えば、「緑の島」の別名をもつアイルランドの自然をイメージしたカクテル「グリーン オーチャード」は、「ブッシュミルズ シングルモルト10年」を使用。このウイスキーがもつフルーティーかつスパイシーなフレーバーを活かし、ミントの香りやマスカットジュースと合わせることによってそよ風が吹くような爽やかな味に仕上げた。本当にウイスキーを使っているの?と思うほど軽やかな味わいで、「ウイスキーを飲み慣れない人にとっては入り口の一杯に、愛好家からすると驚きがあってウイスキーの可能性を再発見するカクテルになるはず」と大場さんは話す。
ラグジュアリーな空間に、よりこだわった一杯を
地下1階は、1階のカジュアルな雰囲気とはガラリと印象が変わり、照明をおさえたオーセンティックバー。落ち着いた空間に合わせた、静かにゆっくりと味わうのにふさわしいカクテルがメニューに並ぶ。
「そもそも、『ブッシュミルズ シングルモルト16年』をカクテルにすること自体が贅沢(笑)。僕だったらストレートかロックで味わいたい特別なウイスキー。だから、とってもスペシャルなカクテルなんですよ」と大場さんが冗談混じりに紹介するのは、「アイリッシュ ジェントルマン ファッションド」。「ブッシュミルズ シングルモルト16年」ならではの香りが、カシスリキュールやオレンジ、チョコレートのビターズと重なり合った、芳醇なカクテルだ。一口目の濃厚な余韻に浸りつつ、時間とともに変化していくエレガントな味わいをじっくり楽しみたい。
また、地下1階では、月曜日限定で今年10月に国内で新発売した「ブッシュミルズ シングルモルト25年」と「ブッシュミルズ シングルモルト30年」も提供している。
1階、地下1階の両方でオーダーできるのが、アイルランドの伝統料理をイメージしたフードメニュー。スフレのようにふわふわに焼いたアイリッシュオムレツや、カリッと焼いたフィッシュアンドチップスなど、現地のレシピをベースにしつつ、気軽に食べられるようにアレンジしているのが特徴だ。いずれも、ハイボールやカクテルに非常に合う味わいなので、「薫香が印象的なスモークサーモンとクリームチーズのディップにはハイボール」、「フレッシュな野菜を使ったアイルランド風カポナータには軽やかな飲み心地のカクテル」など、自分なりのペアリングを考えてみても楽しい。
ウイスキーの概念を覆すような爽快なカクテルから、地下1階限定の貴重なボトルまで、ブッシュミルズの世界を余すことなく堪能できる「BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR」。期間中に、一度は足を運びたい。