優れた生産体制で独創性と高品質を追求
ブランドの歴史を遡ると、1889年にチューリッヒに設立された貿易会社「デスコ・フォン・シュルテス」にたどり着く。当初はシルク貿易を生業とし、第二次世界大戦後からはアジア向けにスイス時計の輸出にも着手。1961年にはスイス・セイネレジェの時計部品製造会社を傘下に収め、名だたる時計ブランドにパーツを供給してきた。その経験を活かし1975年、満を持して自社ブランド〈モーリス・ラクロア〉創設へと至った。
当時、クォーツショックに見舞われたスイス時計業界冬の時代。ブランド設立は、伝統的な時計製造技術を継承しながら、いかにして時代のニーズに応えるかという難題へのチャレンジだった。そのための設備投資を惜しまず、1989年からはケースの自社製造をスタート。そこから翌年生まれたエレガントなブレスレット統合型ウォッチ「カリプソ」が世界的なヒットを遂げる。
その2年後には、機械式ムーブメントを搭載した「マスターピース」コレクションの初作としてダイヤル中央同軸に5本の針が備わり、それぞれが時・分・秒・日・曜日を示す「ファイブハンズ」をリリースし、これもまた高く評価された。その勢いを受け、自社製ムーブメントの開発に着手。2006年にクロノグラフCal.ML-106を世に送り出した。その後も正方形や三つ葉形、ハート形の歯車を用いるなど、独創的な自社製ムーブメントの数々を生み出してきた。
また過去10年間で14回レッド・ドット・デザイン賞を受賞した実績を持つ、優れたデザイン性もメゾンの強みだ。加えて80~90年代の設備投資によって高い生産能力が整っており、自社生産率を上げることでコストを抑え、高品質と低価格とを両立させている。モノ作りの本質を〈モーリス・ラクロア〉は、追求し続ける。
【Signature:名作】アイコン オートマティック デイト 42mm
機械式ラグスポを身近な存在に

ケースとブレスレットを統合したスタイルと、ベゼルに備わる6つのダブルタブは、メゾンの一時代を築いた「カリプソ」からの継承である。モデル名には、ブランドの新たなアイコンになって欲しいとの願いが込められているという。
11mm厚のフラットなケースや、クル・ド・パリ装飾を施した立体的な造作のダイヤルといったラグジュアリー・スポーツウォッチの定石を踏まえ、かつ自動巻き搭載ながら35万円を切る価格設定が〈モーリス・ラクロア〉らしさ。サテン仕上げのベゼルの上で、鏡面状のダブルタブが煌めき、腕でラグジュアリーな存在感を放つ。
径42mm。自動巻き。SSケース。346,500円。

【New:新作】1975 オートマティック 36mm
今年のトレンドを抑えたヴィンテージスタイル

ブランドの創業年を冠するクラシカルなコレクションからの新作。36mmという小ぶりなケースとブルーのダイヤルは、まさに今のウォッチトレンドが押さえられている。全体に丸みを帯びたケースのフォルムは、穏やかな雰囲気。
ダイヤルに配した楔形の植字インデックスとフォーフィン型時分針が、精悍な印象を添えている。ダイヤルはサンレイ加工によって、光の当たり具合で微妙に色のニュアンスが変化して、表情が豊かだ。丁寧にダイヤルと色合わせしたストラップは、ブランドロゴの型押しが目を引く。
径36mm。自動巻き。SSケース。223,300円。
