伝説の時計師の名を継ぐ、新たな小アトリエ
ブランド名は、19世紀に活躍した時計師フランソワ・チャペックに由来する。ボヘミア王国(現チェコ共和国)で生まれた彼は、ポーランドで時計製作技術を取得し、1832年にスイスに移住。そこで出会ったアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとともに1839年、現在の〈パテック フィリップ〉の前身となる〈パテック・チャペック〉を設立した。
彼らは傑出した懐中時計の数々を世に送り出していたが、6年間の契約満了をもって解散することを選んだ。そしてフランソワ・チャペックは、新たなパートナーを得て〈CZAPEK&Cie〉を設立する。彼は、ナポレオン三世をはじめ錚々たる顔ぶれの顧客に恵まれていたが、1871年に謎の失踪を遂げ、それに伴いメゾンも消滅してしてしまう。
そんな伝説の時計師の名が、2012年に蘇った。新生〈チャペック〉は、まずフランソワ・チャペックが製作した懐中時計の数々を分析。そして2015年、クラウドファンディングで資金を調達し、1850年に製作された懐中時計「No.3430」に範を取るファーストモデル「ケ・デ・ベルク」を世に送り出す。同機は翌年、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)でパブリック賞を射止め、〈チャペック〉の名は、世界中の時計愛好家の間で広く知られることとなった。
19世紀の懐中時計を現代的に再解釈したクラシカルモダンなスタイルと、当時と同じ伝統的な手仕上げ・装飾による優れた審美性が、〈チャペック〉最大の魅力だ。高級ムーブメント会社「ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ」と良好なパートナーシップを築くのと並行し、2020年には自社製ムーブメントCal.SXH5を開発。その2年後には新ファクトリーが完成し、少量生産で上質なモデルの製作にいそしむ。
【Signature:名作】ケ・デ・ベルク No.17 ダブル・ソレイユ - ディープブルー
ダイナミックな装飾ダイヤルに7日巻きムーブメントが潜む

創業者が製作した懐中時計から引用した、やや下側にオフセットしたインダイヤルを起点に、ふたつのソレイユ装飾が交錯する様子がダイナミックで美しい。40.5mmとなった新サイズのケースに、自社設計ムーブメントCal.SXH1を搭載。
ゼンマイを収めた香箱が2つ備わることで実現した7日間駆動の残量を右側の曜日表示インダイヤルで兼ねさせているのが、ユニークである。つまり日曜日の朝にフルに巻き上げれば、曜日の移り変わりとともに残量がカウントダウンされていくというわけ。裏蓋に覗くムーブメントには、伝統的な手仕上げが浮き渡る。
径40.5mm。手巻き。SSケース。4,598,000円
【New:新作】アンターティック ポーラー・スカイ
極天の星空を表現した美しいダイヤル

ブレスレットとケースを統合した、スポーティなコレクションの新装モデル。ダイヤルをアヴェンチュリンガラスで設え、満天の星を表現した。その上で立体的にファセットカットされた植字インデックスが輝き、装いはかなりドレッシィである。
特徴的なコの字形のブレスレットの中リンクも鏡面状に煌めいて、一層の気品を添えている。これならカジュアルな装いはもちろんのこと、フォーマルなドレスコードにも合わせられそう。マイクロローター式の自社開発で初の自動巻きCal.SXH5を搭載。99本限定生産で稀少性も高い。
径40.5mm。自動巻き。SSケース。6,413,000円