宝飾技術と創造力で時を詩的に表現
メゾンの物語は、1895年のパリに始まる。この年、1組のカップルが結婚した。彼らの名は、エステル・アーペルとアルフレッド・ヴァン クリーフ。ともに宝石商の家系に生まれた夫婦は1906年、エステルの兄サロモン・アーペルとの3人で、パリ・ヴァンドーム広場22番地に〈ヴァン クリーフ&アーペル〉を創立した。メゾン名の欧文表記の最後が“Arpels”と複数形なのは、アーペル兄妹を意味する。
高級宝飾店としてスタートしたメゾンは、1910年代からジュエリーウォッチも手掛け、時計製作でも長い経験を持つ。1935年には、今もメゾンを象徴する一つとなっている南京錠をモチーフとした「カデナウォッチ」が誕生。そして1949年には、創業者一族であり経営にも参画していたピエール・アーペルが、自身が着けるための腕時計として「PA49」をデザインした。ケースは極めて薄く、ケースの上下に取り付けた控えめなセンターアタッチメントでストラップを留めるスタイルのメンズウォッチは、「ピエール アーペル」の名で受け継がれている。
1895年にエステルとアルフレッドが誓った永遠の愛が、創業以来変わらぬメゾンのテーマ。そして1940年代以降、自然やダンス、妖精、クチュールといった詩的なモチーフを、ジュエリーや時計に用いてきた。これらは多彩な宝飾技術を駆使してケースやダイヤルを彩るだけに留まらない。例えばバレリーナのチュチュを針代わりとし、左右に広がりまた閉じることで時間を示したり。男女の姿を針に象り、午前と午後の12時にパリの橋の上で2人が出会ってキスをする、といったように、メカニズムにも取り込んで、時を詩的に表現してきた。〈ヴァン クリーフ&アーペル〉は、優れた宝飾技術と創造力で、腕時計に愛と夢を吹き込む。
【Signature:名作】ピエール アーペル ウォッチ
控えめな美を奏でる紳士のドレスウォッチ
控えめながらも特徴的なセンターアタッチメントや、華奢なローマ数字と極細のバーインデックスを組み合わせたダイヤルは、1949年に誕生した「PA49」からの継承である。それを現代の〈ヴァン クリーフ&アーペル〉は、やや大振りな42mmケースに設え直すことで、モダナイズしてみせた。
さらにダイヤル中央にはピケと呼ばれる織物柄が施され、装いは一層華やかである。同じグループ傘下の〈ピアジェ〉が誇る、2.5mm厚の極薄手巻きムーブメントを搭載することで、シャツの袖口に無理なく収まるわずか5mm厚の薄型ケースを実現した。
径42mm、手巻き、18KWGケース。2,719,200円。
【New:新作】レディ アーペル ジュール ニュイ ウォッチ
移り変わる空の様子を美しくダイヤルに映す
「ピエール アーペル」のスタイルを受け継ぐ、レディスウォッチコレクションからの最新作。放射状の彫りを施した真珠母貝製ダイヤル上部の大きな開口部に、月と太陽をセットしたディスクが、24時間で一周し、昼夜を示すしかけに。
かつてない巨大なデイ&ナイト機構は、宇宙の神秘の詩的な表現である。そのディスクは、アベンチュリン製。月とその周囲の星はダイヤモンドで象り、太陽にはイエローサファイアを敷き詰めて、美しく豪華に装った。
径38mm、自動巻き、18KWGケース。19,272,000円。