世界に誇れる日本のグローバルブランド
1913年に国産初の腕時計「ローレル」を発表して以来、〈セイコー〉は高精度を追求してきた。その技術のすべてを注ぎ込み、1960年に誕生したのが初代〈グランドセイコー〉である。当時、国内最高精度だった「クラウン」に搭載されていたムーブメントのパーツを厳選し、入念に調整。日差(1日で生じる誤差)-3~+12秒という優れた精度を実現した初代〈グランドセイコー〉は、その頃スイス勢でも取得が困難だった精度検定、クロノメーター検査基準優秀級規格の合格を勝ち取った。むろん国産時計、初の快挙だ。
以降〈グランドセイコー〉は、「正確さ」「美しさ」「見やすさ」を追い求め、進化を続ける。美しさにおいては、ケースを回転する金属盤に押し当てて磨くことで、歪みのない完璧な鏡面が得られるザラツ研磨機をいち早く導入。この技術を最大限に生かし1967年に誕生した「44GS」によって、その後の〈グランドセイコー〉のデザインの方向性が決定づけられた。
目指したのは「燦然と輝くウオッチ」。そのために、
1.平面を主体として、平面と二次曲面からなるデザイン。三次曲面は原則として採り入れない。
2.ケース・ダイヤル・針のすべてにわたって極力平面部の面積を多くする。
3.各面は原則として鏡面とし、その鏡面からは極力歪みをなくす。
という3つの方針を定め、それをかなえる9つのデザイン要素を導き出した。これを称して「セイコースタイル」。その中には「見やすさ」を高める要素も含まれている。
「正確さ」でも、1969年に発表した「61GS V.F.A.」で月差±1分以内という、当時の機械式時計では前例のない高精度を実現している。しかし同じ年、〈セイコー〉から世界初のクォーツ式腕時計が誕生。機械式から一気に置き換わったことで、〈グランドセイコー〉は1970年代半ばに、いったんその役目を終えた。
そして1988年、年差±10秒という超高精度クォーツ搭載で〈グランドセイコー〉が復活を果たす。さらにその10年後には満を持して機械式の〈グランドセイコー〉が、市場に返り咲いた。その際、機械式の平均日差-3~+5秒という新グランドセイコー規格を自らに課し、高精度技術をさらに磨き上げてゆく。
また1999年に〈セイコー〉が開発したゼンマイで動き、ICと水晶振動子で制御する独自のムーブメント「スプリングドライブ」搭載の〈グランドセイコー〉も、2004年に生まれている。
現在は機械式ムーブメント「9S」シリーズ、クォーツムーブメント「9F」シリーズ、スプリングドライブムーブメント「9R」シリーズのそれぞれにいくつものバリエーションを展開。そのどれもが〈グランドセイコー〉専用設計であり、規格外の高精度を誇る。グローバルブランド〈グランドセイコー〉は、高精度技術で世界と戦う。
【Signature: 名作】SBGJ201
ブランドの歴史を受け継ぐトラベルウォッチ
柔らかなカーブでラグと一体感を成すケースサイドを潔く斜めに切り落とし、広く平らな鏡面を創出する。そのケースデザインは、前述した1967年誕生の「44GS」の現代的再解釈である。時をカウントするテンプを1秒間に10回高速振動させて高精度を得る、メカニカルハイビートムーブメントを搭載。この技術も〈グランドセイコー〉は、1968年から研鑽してきた。
外装と機械とにブランドの歴史を受け継ぎ、第2の時刻を24時間単位で示すブルーのGMT針を装備。主時針はリューズで1時間刻みに単独操作でき、現地時間に合わせられ、GMT針でホームタイム(日本時間)を確認できる仕組みが、実に使い勝手がいい。
径40mm。自動巻き。SSケース。825,000円。
【New: 新作】SLGH019
〈グランドセイコー〉の新時代を開く
ケースとブレスレットの全体をヘアライン仕上げとし、随所にポリッシュ仕上げを入れることで、光と影の間にあるグラデーションを表現する。セイコースタイルを新解釈し、2020年に生まれた「エボリューション9スタイル」を体現する一本。
さらに同じ年に完成した、ゼンマイの巻き戻りを制御する脱進機を極めて高効率に進化させた機械式Cal.9SA5を搭載し、〈グランドセイコー〉の新時代を象徴する。ダイヤルには、上のモデルと同じ「岩手山パターン」を型打ち。深いブルーに染めることで、冬の星空の下で雪明かりに浮かび上がる幻想的な姿を表現した。
径40mm。自動巻き。SSケース。1,331,000円。