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ぼる塾と行く!火鍋の到達点、大塚〈四川料理 花重〉

本場中国からも続々店舗が上陸し、文字通り“火”のつくブームが到来中の火鍋。その名店のこだわりに迫ると「赤くて辛い」だけの印象が覆るはず!ぼる塾が訪れた〈花重(かえ)〉を筆頭に、名店の個性を考察する。

本記事は、BRUTUS「中華な気持ち。」(2025年5月15日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

photo: Koh Akazawa, Kenya Abe / text: Mamiko Kume

あんり

火鍋の印象といえば、美人が食べる鍋。口を開けば火鍋か白湯(さゆ)。

酒寄希望

そんなことないと思うよ。私も白湯は飲むし……でも、たしかに火鍋は今日が初めて。

きりやはるか

おいしい火鍋屋さんってどうやって見極めたらいいかわからないよね。

田辺智加

私、楽しみで調べてきたの。〈花重〉さんでは何日も前からスープを仕込んでいるんですよね?

店主

そうなんです。

きりや

(麻辣(マーラー)スープを一口飲み)最高!香辛料の複雑な香りがたまらない。旨味が香ってくるみたい!

田辺

私、山椒が大好きなんですけど、この生山椒のスープは想像を軽く超えてくる。幸せすぎ。

あんり

旨味でぶん殴られてるみたい。火鍋のイメージが変わったよ。

酒寄

私とはるちゃんは唐辛子の発酵調味料(泡辣椒(パオラージャオ))をちょい足ししたんだけど、無限にいける。

あんり

(どんどん具を足していく)

田辺

具材が加わると相乗効果でおいしさがずっと限界突破してくわ。

あんり

健康的な食材でなんか田辺さんツヤツヤしてません?

田辺

まあね〜。

あんり

おいしすぎてここ最近で一番の「まあね〜」が出たね。

酒寄

また4人で火鍋行きたいね!

酒寄希望(左上)、田辺智加(右下)、きりやはるか(左下)、あんり(右上)。大塚〈四川料理 花重〉にて。6種のスープから3つの味を選べる名物の三色火鍋を実食する〈ぼる塾〉。スープの注ぎ足しは無料。

四川料理を再構築した火鍋の到達点

四川料理を日本に広め、中国特級厨士も知らないあまたの料理を誇る名料理人、故・趙楊さん。その遺志を継ぐ娘の花重さんと夫の田中宏茂さんはコースのメインに火鍋を提供、伝承のレシピをスープにアレンジ。「牛骨や軍鶏(しゃも)で一からスープを作り香辛料も20種以上使いますが、手間暇がかかるので本場でも継承している店はごくわずかです」(花重さん)

そんな代物にもかかわらず品数は、常時6種。特筆すべきは季節感で、3日間煮込む牛テールとトマトや生山椒のスープは2ヵ月程度の期間限定とくる。四川から仕入れる花椒(ホワジャオ)に自家栽培の無農薬ハーブ。各地まで自ら足を運び、「その日一番の素材を」と食運を懸けてまで厳選する具材は豪華絢爛。味わいは唯一無二で、圧倒的な旨さに、頭の中で銅鑼の音が響き渡る!

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