クォーツ最高っ!ということで、前編から続く、世界最大の鉱物イベント・ツーソン・ショー レポート 2023〜後編〜。今年はメインショーのテーマがクォーツにちなんだものだったということもあり、〈PEANUTS MINERALS〉の代表・亀田和人さんとの水晶談議はさらに前のめりに。みんな大好きなハート形となる日本式双晶や、二段重ねに結晶したセプタークォーツ、内包物の影響で様々な表情となったインクルージョンものなど、クォーツの懐の深さを存分に感じさせてくれる素晴らしい標本のスナップを見せてくれた。
Quartz var. Japan Law Twin
「メインショーの展示の中でもその中央に鎮座していたクォーツの標本です。ネパール産の日本式双晶で、ハート形の結晶の形状、透明感やテリ、メイン結晶と下部の結晶とのバランス、そのすべてが完璧でしたね」
Quartz var. Amethyst
「アメシストのクラスター標本。花が2つ並んだような形状が印象的で、予算の都合でいったんは諦めたんですが、結局諦めがつかず翌々日に買いに戻ったら売り切れていたんです(涙)。ミネラルショーあるある話とも言えますが、その分記憶に残っている標本ですねぇ……」
Quartz var. Amethyst Scepter
「メインショーでの展示にあったアメシストの標本、特徴的なこの形状はセプターと言われるものです。母岩とのバランスがよく考えられており、完璧な標本といっても過言ではないと思いますね」
Quartz "Flower" with Celadonite inclusions
「クォーツが放射状に結晶したブラジル産のクラスター標本で、所有者が“Flower”と書き込みたくなるのもよくわかる美しい標本ですね。グリーンに見えるのはCeladonite(セラドナイト・セラドン石)を内包しているためです」
Quartz with Hematite inclusions
「ヘマタイトを内包したクォーツのクラスター標本です。これだけしっかりと内包しながら透明感を維持しているのは良標本と言えると思います!」
Quartz var. grape amethyst
「こちらもクォーツの仲間ということで、メインショーで見たグレープアメシストやグレープアゲートと呼ばれる標本です。粒状の結晶が集まっており、名前の通りぶどうのような見た目。大きいサイズになると発色が悪かったりダメージが出やすいのですが、これは結晶のクオリティも発色も最良ですね」
亀田さんのコメントは、いつもなにか不思議な説得力があって、“石欲”を掻きむしられる。個人的にはおたまじゃくしの卵のようなあやしげな佇まいのヘマタイトインクォーツが好みで、グググッと熱くなったりも。まさに水晶さまざま。『水晶に始まり、水晶に終わる』という言葉をまた噛みしめるのだった。
そして、最後に亀田さんがショーでお買い上げした、まさに珍奇なる鉱物をひとつご紹介してツーソン・ショー レポートを〆たいと思う。
Aragonite
「クォーツではないんですが、今回購入したネギ、もといアラゴナイトの標本です。グリーンの部分はコニカルサイト。ポイントは根っこ付きであるところです(笑)。こういった見立ては標本収集の楽しみのひとつですよね」