相違点と共通点の幸せな融合
Bialystocksのどこか懐かしいような、それでいて先鋭的なサウンドは、どのようにして生まれるのだろう。住んでいるところも、音楽的なバックグラウンドも異なる甫木元と菊池は、お互いに曲やアイデアをキャッチボールしながら、一つの楽曲を完成させていくスタイルだ。それについて甫木元はこのように説明してくれた。
「そのままだと童謡とか合唱曲のようになってしまう僕の曲を、菊池が(アレンジで)毎回違うものにしてくれるんですよね。ルーツが違うから、どっちにしてもズレてはいるんですけど、ズレながらうまくいくといいなと思って。でも、2人とも音数が多いのがあまり好きではなくて、最終的に引き算するのが共通点かも」
菊池はジャズピアニストでもあるが、「(ジョージ・)ガーシュインが好きなんですが、ジャズアレンジされたものを聴くのもいいけど、やっぱり元のメロディのグッとくる良さというのもあって。ジャズは時にそれを台なしにしてしまう気がしたんですよね。それで、ちゃんと構築された音楽を作りたいと思うようになった」と語る。
そのようにして生まれるBialystocksの曲で、印象に残るのは、コーラス含め、甫木元の歌の響きが大きいかもしれない。それを甫木元は次のように言葉にする。
「菊池曲は、デモで菊池が英語で歌っているのが来るんですが、その音にハマる日本語を乗せないと、のぺっとしてしまうんですよ。この音を残したいというのを、歌詞の意味より優先させることが多いですね。自分の曲でもそうですが。もちろん、それだけだとサビには弱い時もあるから、その時はパズルのように言葉を探していきます」
最後に、2人が普段よく聴く音楽について尋ねると、甫木元は、音響系のフォークだと言う。その一方で、菊池は、「僕は6~7割、フランク・シナトラですね」ときっぱり語った。このどこかズレながら、絶妙にマッチする2人が生み出す音楽に、ますます目が、耳が離せなくなった。