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グラフィックデザイナー・高田 唯の人生最高のお買いもの「ジャンルイジ・トッカフォンドの絵」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。グラフィックデザイナー・高田 唯さんのベストバイ・ストーリーは?

初出:BRUTUS No.1000「人生最高のお買いもの。」(2024年1月11日発売)

photo: Satoshi Nagare / text: Keiko Kamijo

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作品作りの軸をくれた購入体験

20年ほど前の学生の頃、アートディレクターの葛西薫さんのお仕事が好きで追いかけていたんです。トッカフォンドの絵を広告に使われてて、粘土っぽい質感がユニークで衝撃だったんですよね。すごく気になって、展示を見に行ったら販売してたんですけど、額縁も含めて確か6万、7万円とかだった。

当時の僕には異常に高い金額だったんですが、覚悟決めて買ったんです。ちょっと不気味なところが妙に引っかかるし、心地悪い心地よさというか、妙なレイアウトが好きなので、影響を受けた、思い込みをずらしてくれた絵とも言えますね。自分の好みのツボがここにある。初めて惚れた作品を自分のものにしちゃった満足感は今でもほかと比べられません。

「ジャンルイジ・トッカフォンドの絵」
イタリア生まれのアーティスト、ジャンルイジ・トッカフォンド。1998年にユナイテッドアローズの企業広告ならびにテレビCMのアニメーションを描いた。

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