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クリエイティブディレクター・箭内道彦の人生最高のお買いもの「ロンドンで買った1964年製のギブソン」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。クリエイティブディレクター・箭内道彦さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Shinsaku Yasujima / text: Asuka Ochi

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“敵買い”の歴史のトリを飾ったギター

僕にとってギターは、若い頃に買えなかったものを手に入れていく“敵買い”の歴史。初任給で憧れのミュージシャンが使っていたオベーションの《Adamas》を買い、2007年にサンボマスターの山口隆とままどおるズを結成した時に初めてギブソンの《B−25》を手にし、そしていつかどこかで出会ったら、生まれ年の1964年製のギターを買いたいなと思っていました。その出会いが訪れたのは2009年、出張先のロンドンで。塗装にぼかしが入ったサンバーストのギブソンは、ギターを始めた中学時代の憧れでした。タイムマシンがあったら過去に戻って、昔の自分に「お前もうちょっと生きてると生まれ年のギブソンを買えるぞ」というのを見せに行きたいです。

サンバーストのギブソンのギター《J−45》。箭内さんが中学生の頃、谷村新司さんらもギブソンを使っているのを見て、憧れと郷愁を感じる一本になった。

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