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〈Out of museum〉店主・小林 眞の人生最高のお買いもの「カルメン・カバレロ・セビージャのパペルマチェ」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈Out of museum〉店主・小林 眞さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Keisuke Kagiwada

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造形美の面白さに魂が共鳴したメキシコ民芸

画家の利根山光人さんが亡くなられた際、遺品整理をすることになった知人を通して手に入れたのが、この2体。カルメン・カバレロ・セビージャのパペルマチェは、メキシコシティにあるディエゴ・リベラの美術館で見て以来大好きでしたが、彼女の作品かどうか以前に、その造形物としての面白さに、僕自身の魂が共鳴するのを感じたので買い取らせていただきました。

僕の買い物はいつもそうなんです。作者が誰であるとかに関係なく、魂が共鳴すると買わずにはいられない。その結果が今の僕のお店なので、ベストバイを一つに絞るのは難しいですが、この2体は買い取らせていただいた経緯も含めて、とりわけ印象に残っています。

「カルメン・カバレロ・セビージャのパペルマチェ」
パペルマチェとはメキシコ民芸品の張り子人形のこと。この2体はその作家として知られるセビージャが、1940年代に制作したもので、骸骨がモチーフ。

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