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グラフィックデザイナー・大島依提亜の人生最高のお買いもの「レイモン・サヴィニャックのポスター」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。グラフィックデザイナー・大島依提亜さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Keiko Kamijo

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所有していることが精神的支柱となるポスター

90年代の後半、美大生時代に教科書で見た50〜60年代のグラフィックデザインにハマって、ちょうどレイモン・サヴィニャックの展覧会もあったので、友人たちと大盛り上がりしていたんです。でも、当時は情報もないしどうやって買っていいかもわからなかった。

ある日、代官山をタクシーで走っていたら、ウィンドウに彼のポスターがチラッと見えた。すぐにタクシーを止めて、店を覗くとポスターがいっぱい!価格は20万円くらいだったのですが、手が出ませんよね。でも悩みに悩んで、何度もギャラリーに通って一枚を選んで購入しました。でも、長さが3mと大きすぎて部屋に飾れてないんです。引っ越しのたびに見て、自分の原点を思い出しています。

「レイモン・サヴィニャックのポスター」
レイモン・サヴィニャックの家電メーカーポスター。ユーモアに満ち、一目で絵の意図がわかる画風は「ヴィジュアル・スキャンダル」と言われた。

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