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小説家・小林エリカの人生最高のお買いもの「宮崎駿『風の谷のナウシカ』全巻セット」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。小説家・小林エリカさんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Keiko Kamijo

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幼い頃から何度も読み返した、思想の原点

『風の谷のナウシカ』は実家の床の本の山に埋もれていた単行本を読んでいた記憶があります。家のゴミ箱にもナウシカのポスターが貼られていて子供ながらに強く印象に残っていました。その後実家を離れて、全巻まとめ買いしました。

大人になって改めて読んでみて、自分が放射能や戦争のことをずっと考え続けていて、小説や作品にしていることもありますが、宮崎駿がなぜ「風」や「森」を描くのか、腐海という設定なのか、腑に落ちる瞬間があります。早い時期からそのことを作品で訴え続けている宮崎駿を尊敬するし、彼の思いを目に留まるところに置いて心に留め、それを見る子供や友達にも事あるごとに薦めていきたいから紙版を。これは家宝ですね。

「宮崎駿『風の谷のナウシカ』全巻セット」
文明が滅亡し1,000年後、「風の谷」の族長の娘であるナウシカが、世界を再生すべく立ち向かう。宮崎駿が12年にわたり描き続けた不朽の名作。

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