「もし、現代に忍者がいたならば」
歴史上、影の存在とされてきた「忍者」。ミステリアスな存在感と高い身体能力、そして独自の知恵と技術が人々を魅了し、日本のみならず世界中に根強いファンをもつ。海外における認知度も非常に高く、アニメや映画に登場するだけでなく、主要な英語辞典に「NINJA」という単語が掲載されるほど、世界的な支持を獲得している。
「日本の魅力を国内外に発信する」をコンセプトとする〈BEAMS JAPAN〉では、忍者からインスパイアされた〈忍者 ビームス ジャパン〉のスペシャルコレクションを8月7日(木)に発売する。テーマは「もし、現代に忍者がいたならば」。武術に通じ、スパイとして活躍した忍者が、もし現代に生きていたらきっと愛用したであろう機能的なアイテムや、忍者の故郷である伊賀・甲賀で制作された品々を展開する。
忍者はどんな生活をし、何を持ち歩いたか
そもそも、忍者とはどんな日々を過ごしていたのだろうか。史料をひもとくと、1300年代にはすでに忍者(忍び)の存在が記録されている。戦国時代には大名に仕えて敵国に侵入し情報収集を行うほか、大名の護衛としても活躍した。徳川家康も戦いの際には忍者を重用し、江戸城の警備も任せたという。
とくに注目すべきは、入手した情報を自国まで生きて持ち帰るため、並々ならぬサバイバル術を身につけていたことだ。17世紀の忍術書『万川集海』によれば、交際術・記憶術・伝達術・呪術・医学・薬学・食物・天文・気象・火薬など実に様々な知識を習得していた。つまり忍者とは、情報収集や諜報活動による的確な状況判断と行動力を評価され、単一の職業に置き換えることのできない多彩な能力を有する存在だったのだ。
そんな生き様に思いを巡らせてみると、「忍者にとって必須のアイテムがいくつもあったはず」という想像が膨らんでくる。険しい環境を素早く移動し、生き延びるためには、軽量で、かつ丈夫な道具が必要だったに違いない。
〈BEAMS JAPAN〉では、そうした忍者の精神性や機能美からインスピレーションを得て、ファッションとプロダクトの形で表現している。〈忍者 ビームス ジャパン〉として展開する「伊賀くみひも」を使用したサコッシュやベルトも、そんな発想から生まれたアイテムだ。伊賀くみひもは、「伊賀忍者」が拠点にしたとされる三重県伊賀地方で受け継がれてきた伝統的工芸品。戦国時代には忍者が下緒(日本刀を腰に差すときや、手から離さないようにするために用いた、機能的かつ装飾的な紐)としても活用したという。それを、現代の定番アイテムであるサコッシュやベルトにアップデートした。
そのほかにも、〈MIZUNO〉と製作した機能素材Tシャツや吸水タオル、〈丸五〉の地下足袋、特別グラフィックを落とし込んだ〈PILOT〉のアイコニックなフリクションペンなど全12型のラインナップだ。ブランド・ロゴはもとより、コレクションの一部では藤子不二雄Ⓐによる漫画『忍者ハットリくん』のイメージを起用している。
〈BEAMS JAPAN〉のフィロソフィーは、日本の手仕事の魅力を国内外に伝えること。今回のコレクションでも、日本文化のアイコンである忍者を〈BEAMS JAPAN〉的に解釈したうえで、国内を代表するブランドの技術力と、忍者発祥の地「伊賀」「甲賀」の文化的視点を掛け合わせ、日本の魅力を多面的に表現した。軽く、丈夫で、無駄がない。忍者が追求した究極の機能美は、現代においてもなお色褪せることがない。