〈magma〉個展『STAY GOLD』がB GALLERYで開催。廃材と日用品が生まれ変わるアートの世界

BEAMS〉が注目する国内の優れたものづくりとその背景にある物語を紹介する本連載。民藝、雑貨、アートといった日本の豊かな文化を現代の視点で再発見する。第7弾は、廃材や日用品をアートとして再構築するユニット〈magma〉。身近な素材から生まれるカラフルでユニークな作品の世界に迫る。第6弾はこちら

text: Ayano Yoshida

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「プロダクトとアートの中間地帯」を探求する

東京から生まれるアート、デザイン、カルチャーを発信するプロジェクト〈TOKYO CULTUART by BEAMS〉が、アーティストユニット〈magma(マグマ)〉の個展『STAY GOLD』を2025年12月5日(金)より東京・新宿「B GALLERY」で開催する。

〈magma〉の作品の魅力は、カラフルな色使いで独特の世界観を生み出すこと。制作手法も特徴的で、廃材や樹脂、電動器具など膨大な素材を収集し、補修したり、色を塗り直したりしながら、それらを手作業で組み上げていく。本来の用途を離れた多様な素材を組み合わせることで、意外性に満ちた新しい作品として再構築し、鑑賞者を独自の世界へ引き込んでいく。

本個展では、実用品の形をしながらも、機能美より造形の面白さを追求した新作を発表。「STAY GOLD」をテーマに、金色のパーツや縁起が良い物を素材とし、新作を含む30点以上を展示・販売する。生活空間に置くとアートとしての存在感が際立つユニークな作品の根底には、〈magma〉が掲げる「プロダクトとアートの中間地帯」という哲学が息づいている。

〈magma〉による照明作品
〈magma〉による照明作品。左から『GOLD INGOT MAN』、『GOLDEN CAT』、『BILLIONAIRE BOY』(中央奥)、『INGOT EXTENTION CODE』(中央手前)、『PYRAMID SOCIETY』、『KING COIN TOWER』。金属、プラスチック、木材、陶器などを手作業で組み合わせ、「STAY GOLD」のテーマを遊び心いっぱいに表現している。

作品制作のかたわらで、家具やプロダクト、空間演出ディレクション・制作まで幅広く活動している〈magma〉。本個展でも、〈TOKYO CULTUART by BEAMS〉とのコラボレーションアイテムを発売する。

ブランケット『Magical present』は、膝掛けやソファまわりのアクセントとして想定しながらも、同時に〈magma〉らしい造形感覚をそのまま編み目に落とし込んだ。テディベアや雪だるまなどのモチーフからはぬくもりが感じられる一方で、画像がズレているようなグリッチ感をあえて出すことで、心に少しの“ざらつき”を残す。

その他、「動きやすく、暖もとれる」インナーダウンタイプのアウターをはじめ、ウェア類もラインアップする。
加えて、〈magma〉が手がけた照明作品も展開。金色のロボット『GOLD INGOT MAN』、招き猫をベースにした『GOLDEN CAT』、金塊を積み上げた『BILLIONAIRE BOY』など、「STAY GOLD」のテーマを体現する、ユーモアと縁起を兼ね備えた作品が並ぶ。金属、プラスチック、木材、陶器など、多様な素材を組み合わせた独特の質感が特徴だ。

ラグマット《LUV RUG》のテーマは、愛。手と手をボルトとナットで繋ぎ、愛のメッセージを表現したアイテムだ。〈magma〉は「後にも先にも愛をテーマにすることはないであろう」とコメントしているように、本個展だからこそ出会える特別なアイテムである。

〈magma〉と〈TOKYO CULTUART by BEAMS〉との関係は長く、2013年のグループ展を起点に、展示企画やアイテム制作など多岐にわたる取り組みを続けてきた。個展の開催やコラボレーションアイテムの製作を重ねる中で、互いの表現領域を広げながら関係を深めてきたことも特筆すべき点だ。

そうした歩みの先にある今回の個展は、〈TOKYO CULTUART by BEAMS〉が捉える〈magma〉の「現在地」を示す場でもある。ぜひ実際に作品を眺め、手に取ることで、その質感や手触りを確かめてほしい。

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