〈BEAMS JAPAN〉で揃える2026年の縁起物。お正月の伝統と迎春アイテムの由来を知る

BEAMS〉が注目する国内の優れたものづくりとその背景にある物語を紹介する本連載。民藝、雑貨、アートといった日本の豊かな文化的資源を現代の視点で再発見する。第6弾は、日本の大切な文化「お正月」について。第5弾はこちら

text: Ayano Yoshida

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一年の始まりに縁起物を揃えて、福を呼ぶ

日本の魅力を国内外に発信するプロジェクト〈BEAMS JAPAN〉では、『お正月』をテーマに迎春アイテムを提案する。〈岸本吉二商店〉別注のミニ鏡開きセットや、毎シーズン人気を集める干支の置物、おみくじを模した割り箸など、バラエティに富んだラインナップだ。

一年のスタートであるお正月は、運を呼び込む最良のタイミング。日本では古くから、縁起物を揃えて開運を願う習慣が根付いてきた。現在では、それが当たり前となり、目的や理由を意識されないアイテムも少なくない。たとえば、なぜ干支の置物を玄関に飾るのか?それは、年の守り神・縁起を家に迎えるため。そして、玄関が幸運の入り口であり、神様を迎える象徴的な場所だからだ。

しかし、多くの人が「今年は午(うま)年だから馬の置物を飾っておこう」くらいのカジュアルさで新年のアイテムを準備しているのではないだろうか。それもよいが、せっかくであれば由来や目的、日本の伝統を知りながら新年を迎えたい。その方が、より福を招けそうだ。

「お正月文化」を再構築する

菰樽(こもだる)を叩いて開ける鏡開きは、江戸時代に広まった風習だ。樽の丸い蓋は「円満」の象徴で、樽酒は神様に備えるもの。鏡開きとは神様の恵みを分かち合う行為とされた。

「ミニ鏡開きセット」は、そんな鏡開きをコンパクトなサイズで楽しめるアイテムだ。鏡板はマグネット式で、毎年でも毎日でも、縁起を担ぎたいときにいつでも鏡開きができる仕様。小ぶりながらも迫力は十分で、新年の景気付けに勢いよく叩きたい。

〈岸本吉二商店〉 × 〈BEAMS JAPAN〉「ミニ鏡開きセット」
〈岸本吉二商店〉 × 〈BEAMS JAPAN〉「ミニ鏡開きセット」
江戸時代から続く鏡開きの風習を、手のひらサイズで。14,300円。

干支置物は、愛知県瀬戸市の陶磁器工芸メーカー〈中外陶園〉による橙色の干支人形をはじめ、栃木県鹿沼市の郷土玩具「きびがら細工」、福島県白河市の「白河だるま」など、各地の職人技が揃う。

なかでも三重県の伝統工芸・伊勢一刀彫は、神宮造営に従事する宮大工が、余技として端材に縁起物などを刻んだことが始まりとされる伝統工芸品で、一度の刻みがそのまま仕上がり面となる、荒削りで大胆な造形が魅力。今回の干支人形は、〈一刀彫 結(イットウボリ ユイ)〉による〈BEAMS JAPAN〉別注アイテムで、テーマカラーの橙色をまとわせ、飛躍の願いを込めた。

〈白河だるま総本舗〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支ダルマ小」(左奥)、〈白河だるま総本舗〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支ダルマ豆」(左手前)、〈きびがら工房〉×〈BEAMS JAPAN〉「きびがら細工『午』」(中央奥)、〈伊勢一刀彫〉×〈BEAMS JAPAN 〉「⚫️⚫️⚫️」(中央手前)、〈中外陶園〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支人形 橙『午』」(右)
(左奥)〈白河だるま総本舗〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支ダルマ小」2,420円
(左手前)〈白河だるま総本舗〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支ダルマ豆」1,430円。
(中央奥)〈きびがら工房〉×〈BEAMS JAPAN〉「きびがら細工『午』」2,530円。
(中央手前)〈伊勢一刀彫〉×〈BEAMS JAPAN 〉「干支人形『午』」5,500円。
(右)〈中外陶園〉×〈BEAMS JAPAN〉「干支人形橙『午』」1,980円。
300年の歴史を持つだるまから宮大工の端材で作られる一刀彫まで、職人技が光る新年の縁起物。

石川県南部の伝統的な焼物である九谷焼の窯元〈青郊窯(せいこうがま)〉に別注した豆皿とそば猪口は、新年の気分を高めるのにぴったり。鮮やかな色絵を、伝統から発展した転写技法で表現し、干支「午」を描いた。色鮮やかで細やかな意匠は、食卓を華やかにするだけでなく、飾っても楽しい。

〈BEAMS JAPAN〉オリジナルの祝馬ランチョンマットと合わせれば、迎春のテーブルを一層引き立てる。

「一富士二鷹三茄子」の絵馬や、六角の小箱を振ると「大吉」「中吉」「小吉」「吉」とプリントされた割り箸が出てくる、箸専門店〈川上商店〉による「おみくじ箸 25膳入り」といった遊び心のあるアイテムも見逃せない。

一年の始まりの必需品といえばカレンダー。1922年創業の〈新日本カレンダー〉による〈BEAMS JAPAN〉別注の2026年版『日めくりカレンダー』には、1日ごとに、その日にまつわることわざや故事、慣用句などの豆知識をちりばめた。毎日めくるたび、自然と新しい気づきや知識が深まる。

民藝作家・小田中耕一氏がデザインした新作の『型染カレンダー』も見逃せない。型紙は富山県・八尾の工房〈桂樹舎〉が製作し、手漉き和紙に職人が一枚ずつ手染めを施している。桂樹舎の和紙は厚みと温かみを兼ね備え、光を柔らかく受け止めるのが特徴。その上に重なる彩色は、手仕事ならではの力強さがあり、カレンダーとしての役割だけでなくアートとしても飾りたくなる。

地域ごとに異なる餅の形や味付けなど、100種類以上あると言われるお雑煮文化。〈石井食品〉の食べ比べセットは、『江戸雑煮』『博多雑煮』『京都雑煮』の3種を味わえる〈BEAMS JAPAN〉別注品だ。「何事も”うま”くいく、飛躍の年になりますように」という願いをこめて、〈中外陶園〉の干支の置物のオマケ付き。

ところで干支の「午」には、もともと「勢いよく前へ進む」「天に向かって駆け上がる」といった意味がある。跳ねるように運気が上向く一年とされ、古くから縁起の良い年と考えられてきた。迎春のアイテムを揃え、新しい一年の飛躍を楽しみに迎えたい。

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