Brush

PR

Brush

整える

PR

AUGER presents かっこいい大人は、“整え方”を知っている。Vol.15 ミュージシャン・LEE LANG

「身だしなみを整える時間」を豊かにしてきた〈AUGER〉。その価値観を共有するクリエイターに、各フィールドで“大人の整え方”を聞いてきた『BRUTUS』の短期連載が新章へ突入。韓国へも進出した〈AUGER〉のように、日韓で活躍するクリエイターを取材。柴田聡子さんや角銅真実さんとの共作や、折坂悠太さん、GOFISHさんとの共演など、日本の音楽シーンでも注目されるシンガーソングライターのイ・ランさんの来日中に直撃。学生時代にミュージシャンを志すきっかけは意外なものだった。

photo: Naoto Date / text: Keiichiro Miyata / translation: Kanwon Seo / coordination: Shinhae Song (TANO International)

連載一覧へ

「また会いましょう」が、人生を整える魔法の言葉になる

「自分のことをミュージシャンと名乗るかは今も迷いがあります。というのも、音楽は独学で、学生時代は映像演出を専攻していました。

私が通っていた韓国芸術総合学校は、音楽、演劇、映像、伝統舞踊など芸術を学ぶ学生が集う場で、自主制作の映像にBGMをつけるため、映像編集用に購入したMacBookに内蔵されたマイクに声や楽器を収録したのが、音楽制作を始めたきっかけなんです」

理想の環境がなければ、自ら切り開き、整える

「学費をローン払いするくらい貧しい家庭だったので、映像制作の費用を何とか捻出するために拾ったものをフリーマーケットで売ったりしていました。何かほかにもお金にできるものはないかと考えていた時に、MacBookに録(と)りためていた歌や曲で稼げることを知って。それで日銭稼ぎのために、ソウルの歓楽街、弘大(ホンデ)のクラブの舞台で歌い始めたのが、シンガーとして歩む第一歩になりました」

ただ、飛び込んだクラブシーンは想像とはかけ離れた世界でいくら歌ってもノーギャラ。そこで“音楽配達屋”と書いたビラを自ら配り、流しのシンガーとして生計を立てていったそう。

「依頼があったら、カフェの隅で演奏したり、宴会場で歌ったり。ギャラが会場での食事ということもありました。今は、こうやって日本でも歌えるくらいさまざまなことを経験する機会に恵まれるようになりましたが、ビッグマネーを掴(つか)んだかと聞かれたら、そんなことはありません。音源での収入は、月2、3万円ほど。歌うことが対価を得るための手段という基本的な考えは、今も変わっていません」。

イ・ランさんにとっては、音楽で名誉や名声を得ることは二の次。そんなスタンスも公にし、自身の経験や考えを歌詞に紡いでいる。

見えないものを可視化するために歌って、曲にする

「歌い始めた頃は、毎日ペゴパ(腹ぺこ)で、お腹いっぱい食べたい気持ちを日記のようにメモしていました。それを可視化したのが当時の楽曲です。歌手デビューして多くの人とつながるようになってから自分のことだけでなく隣の人の出来事を曲にするようになって、全世界に配信されてからもっと広く社会に目を向けるようになりました。言葉には人を動かす力があります。ある意味、自分の立場が怖くもあるし、重圧も感じます。ただ人生は一度きり。やり切るしかないという思いを胸に、不安な気持ちは心にしまい、地球の誰かの声をより大きな声に変える。それが今の私にできること」

社会の“拡声器”となり、イ・ランさんが伝えたいメッセージは楽曲だけにとどまらない。

「作詞・作曲だけでなく、MVの映像演出も自ら行うことで、より強いメッセージを伝えられると思うんです。エッセイ集やこのインタビューも言葉を伝えられるチャンス。2017年に韓国大衆音楽賞でのスピーチで、インディーズミュージシャンの生活がなぜここまで貧困なのかを訴えたのもそういう思いから。声を上げることで、私の環境が変われば、追随するアーティストのシステムも整っていくかもしれない。だから恐れず声にする。もちろん挫けそうになることもありました。そんな時に勇気をもらった言葉が、どんな時も人との別れ際に、“また会いましょう”と挨拶を交わすこと。

何事にも前向きになれるし、再び会う機会やまた歌うチャンスをくれる。実際に、そんな経験が何度もありました。今年は9月に東京のキネマ倶楽部でライブを行います。よろしければ、遊びに来てください。次はライブ会場でまた会いましょう」

MY STYLE ふと書き留めたメモから、すべての物語は始まる

「メモ帳に書き留めた言葉や文章から、私の創作はスタートします」と話す通り、作詞・作曲だけでなく、小説やエッセイの題材や映像のシナリオは、すべてメモ書きから膨らんだストーリーだという。

「学生時代からメモ魔で、何でもノートに書き留めてきました。暇つぶしで、目の前にいる愛猫のイラストを描くこともあったり。あとは、歩いている時や電車などの移動中はメモ代わりにスマホに音声録音したり、その時に思ったことや気づいたことを何でも記録しています」

モレスキンのハードカバーのノート
学生時代から〈モレスキン〉のハードカバーのノートを愛用。無類の猫好きで、今年2月に他界した愛猫ジュンイチのキーホルダーをお守り代わりに持ち歩いている。

WHAT’S AUGER?→《毛抜き》

眉毛や顔周りの細かい毛を清潔に整えるイ・ランさんには、《毛抜き》がおすすめ。指が滑らずにピタッと収まる、中央がくぼんだ形状を採用。細毛や短毛も掴みやすいよう先端は斜めにカットし、横ズレを防止するストッパーを独自に開発。狙った毛をがっちりと掴み、抜くまでの操作性を向上させた。

オーガーの毛抜き
1,210円(オーガー/貝印)

連載一覧へ