世界中の人と輪になって踊るのが、最高の整い
「子供からお年寄りまで輪になって踊る。これがストリートダンスの原点なんです。そんなカルチャーが好きで始めたハウスダンスなので、常に結果が求められるプロになってからも“ダンスが楽しい”という気持ちを抱き続けていたい。だから、どれだけ忙しくても仲間のダンスイベントには顔を出すし、夜な夜なパーティにも繰り出します。好きな音楽で、好きな人たちと輪を囲めたら、もう最高なんです。これほど心が整う瞬間はありません」
そんな一夜を過ごしても、ダンスの基本を培うルーティンは崩さないそう。
「10年以上続けているのが二重跳び。少なくとも200回は連続で飛んでいます。軽く飛んだら、体が軽いか重いか調子がすぐわかる。重ければ、準備運動をさらに入念に。そうやってコンディションを知るバロメーターにもなっています。あとはバランスディスクでの体幹トレも。
現代のダンスシーンは、ストリート発祥の文化的な側面だけでなく、技術を競うスポーツの側面や、体で表現する芸術性の3つの要素がバランス良く求められる世界なので、すべてを強化しています。“ウサギとカメ”で譬えるなら私はカメタイプの努力型なんです。だからトレーニングを繰り返し行うことで、“私はやってきた”と自信を持って、ダンスで無双できる」
これが、KAZANEさんの体の軸と心がブレないダンスの生命線になっている。
ダンス未経験の人にも伝わる、別次元の表現力も磨きたい
「SNS動画がわかりやすい例ですが、審査員に評価される踊りと、誰にでも伝わる表現はまた別です。信念を持ってかっこいい踊りを貫くことと、わかりやすいキャッチーな踊りの表現を模索することのどちらにもこだわっています。だから自分の感性の引き出しを増やすため、映画や舞台を観たり、美術館へ行ったり。例えば、造形物から新しい振り付けが生まれることもあります。無駄なことは一つもない世界なんです。ダンスバトル中の極限状態でゾーンに入った時に、即興のミラクルムーブが出たりもする。偶然を必然にするのも、日頃の“整え”を積み重ねた結果だと思ってやっています」
そういった、すべてダンスに注ぐ生活は、小学生の出来事が大きなきっかけだった。
「小学校6年生でダンサーの登竜門的な世界大会『ジャストゥ・ドゥブ』に初出場したんですが、その時に受けた衝撃は鮮明に覚えています。何がって、もうすべてがすごくて。言葉が通じなくても踊り合うだけで友達になれるし、観客の反応はまるで違う。ダンスという存在が10倍にも100倍にも大きく見える経験でした」
自分だけでなく、この先の、ダンサーの道も切り開く
「『ジャストゥ・ドゥブ』での結果は奇跡的に準優勝できたのですが、おそらく小学生というアドバンテージが乗っかっての評価だったのでしょう。嬉しい半面、いつか本当の意味で世界に認められたいと思うきっかけになりました。それから、世界大会では20回以上は優勝。少しは目標に近づけたかなと思います」
今では国内外のアーティストからダンスレッスンの依頼が届く存在に。
「2017年にBTSのJ−HOPEさんから、マネージャーを通じて、“一緒にハウスダンスを練習したい”と連絡をいただいて、その時に踊った様子がSNSで拡散され、韓国のダンスシーンとの接点が増えるきっかけになりました。今は韓国人ダンサーとタッグを組んで世界大会にも出場しています。自分自身のダンスをさらに整え、挑戦し続けることが、結果として次の日本人ダンサーの道を整える。そうなったら嬉しいです」
MY STYLE お気に入りの扇子で、心も体もクールダウン
ダンスを整えるための美術館巡りを象徴するのが、お土産で購入した扇子。海外のダンサーからは、「KAZANEといえば、コレだよね」と言われるほど、トレードマークになっているそう。
「どれもアートにまつわる柄が描かれているので、ただ涼むだけでなく、感性も刺激してくれます」という理由から、練習中もダンスバトルにも必ず持ち歩き、クールダウンの時に使用。無類のネイル好きで、ギラギラした爪もまた見るとモチベーションが上がるそう。
WHAT’S AUGER?→《ツメキリ M Revolver》
「爪には人一倍のこだわりがあります。手の爪は華やかに、足の爪は短く清潔にしたい」というKAZANEさんにぴったりなのが、誰でも楽々と使える〈オーガー〉の爪切り。力学を応用した設計で、ステンレス刃を用いた《ツメキリ M Revolver》はシャープで軽い切れ味で思うように爪を整えられる。