陶器のように触って味わう小さなアート
尾花友久の《積》
実用的な陶器か、はたまた崇高なオブジェと捉えるか。陶芸の世界では器やグラスなどの実用的な作品が作られることが多いですが、尾花友久は「伝統工芸の技術はそのままに、それをどう更新していくのか」を考え、既成概念にとらわれないアートを常に模索しています。
彼の作品には、カルチャーやメディアが多様化する現代にも通じる、ジャンル横断的な魅力があると思います。新たに発表する《積》は、見た目の通り釉薬をまとった陶板を何枚も積み重ねて作られたもの。陶器を愛(め)でるがごとく触れるアートなので、より身近に感じられるはずです。
(SOM GALLERY/福山雅也)

2024年/セラミック/25×8×8cm
©尾花友久《積》2024年 Photo by Ryu Amon, courtesy of SOM GALLERY