強烈な“文句”を描いたドローイングに込められたもの
丹羽良徳の《生きる》
大きく「生きる」と書かれた画面には、よく見ると「死」や「銀行」といった文字に、チラシから切り抜かれた精肉の画像が。丹羽良徳はパフォーマンスアーティストですが、制作のベースにはプロパガンダを思わせる文言があり、そのアイデアをドローイングとして描いています。
「国家買収」「剰余価値」「亡命政府」……と言葉自体が強烈なので、権威や主義に対してのアンチテーゼとも受け取れますが、決して批判ばかりではなく、私たちの日常の中に当たり前のように浸透する既存のシステムに対する率直な疑問などが作品となっていくのも大きな魅力です。(S.O.C./大柄聡子)

2023年/紙にアクリル、オイルパステル、マーカーペン、アルミホイル、テープ、新聞紙/65×50cm(額なし)