重厚感と軽やかさを併せ持つ彫刻
橋本知成の《Untitled》
信楽焼で有名な滋賀県の信楽(しがらき)を拠点に、陶製の彫刻を主に制作している作家です。作品を見るとわかる通り、幾何学的でミニマルなフォルムの彫刻を陶で作っていますが、釉薬には金属質が多く含まれるものを使用していて、さらに窯の温度のムラによる化学変化で非常に深みのある虹色の表情が現れます。
これは近年作家が取り組んでいるシリーズ。繊細な陶製の焼き物に、重量物であるモルタルの塊を重ねています。素材同士の対比と組み合わせによって絶妙な違和感が生まれ、重厚感がありつつも軽やかさを併せ持つ、不思議な魅力を放ちます。
(PARCEL/佐藤拓)

2022年/陶土、酸化金属、釉薬、モルタル/46×29.5×21.5cm