大切なものを入れることで完結する作品
安彦年朗の《花厨子》
安彦年朗は自身のフィルターを通して、身近なものをユーモラスな木工作品に仕立てる作家です。工芸的な用の美を持ったものと、アートピースの魅力が混在していて、その造形力と手の込んだ丁寧な仕事、カラフルな色使いが見る人を幸せにしてくれます。
《花厨子》は、仏像やお守りといった、大切なものを収める箱「厨子」とセットの作品。用途があるので工芸的領域になるのかもしれませんが、使えるアートピースと捉えて、中央のくぼみにはぜひ大切なものを飾ってみてください。ご自身の宝物を入れることで、この作品が完成する。面白いですよね。
(水犀/進藤尚子)

2024年/木材、木材用絵具/19×42×60cm