Eat

PR

Eat

食べる

PR

Fun Cooking 1 「鍋1つで椀・丼・麺」山田英季

毎日の食卓の主役になる椀もの、丼もの、麺料理。鍋1つあればできる手軽さながら、ひと手間加えることで、気分がアガり、満足感が増すレシピを教えてくれた料理家の山田英季さん。「食べる楽しさを知っている人に、作る楽しさも」と、noteに2020年春からレシピを公開し続けている。料理家として考える、今、料理をする意味とは。

Photo : Satoko Imazu / Text: Kei Sasaki / Movie: Taichi Hara(PATH/LIKE) / Movie: Norichika Inoue(Nowri Inc.) / Title design: Yu Seida (thought.)

ネットに膨大なレシピがあふれている時代だけれど、本当に作りたい料理、食べたい味が見つかるかといえば、そうじゃない。家で過ごす時間が増え、これまで料理をしてこなかった人たちが「やってみようかな」と思ったとき、料理を生業(なりわい)としてきた人間が、何かできることがあればと始めたのがnoteでのレシピ公開でした。驚いたことにスタートした当時は、男性からの反響がとても多かった。「初めて家族と一緒に台所に立ちました」とか「ここを少しアレンジしてみたら、おいしかった」とか。とても嬉しかったですね。
同時に感じたのが、みんなの一番の悩みが「何を作ろうか?」という部分にあるということ。親が子供たちに「今日何食べたい?」と訊くのも、その表れですよね。そのハードルを下げたくて、noteのタイトルを「冷蔵庫にあるもんで」にしました。今回の3品も、その延長線上にある料理です。具だくさんがうれしい豚汁だけれど、材料が欠けたら作れないなんてことはなくて、少ない材料でちゃんとおいしくできる方法はある。麻婆豆腐やカレーうどんも、特別な材料がなくても、ちょっとパンチがあって、満足できる味に仕上げることができる。
僕は、毎日の料理と、趣味的に楽しんで作る料理は、分けて考えたいんです。例えば音楽好きが、ストリーミングで流し聴きするのと、腰を据えてレコードを聴くという、2つのチャンネルを使い分けるように。料理というものを「物質変化」とするならば、毎日のおかずを「もっとおいしく食べたい」という好奇心で何かを加えたら、それはもう立派な料理。世界が1ミリでも「おいしい」に近づけば、いろんなことがいい方向に向かうと思うんですよね。

1. 椀 バター豚汁

バターとベーコンで、コク深めの洋風豚汁。

山田英季 バター豚汁

Ingredients (2人分)
・タマネギ……………1個
・ブロッコリー………1/2個
・ベーコン……………50g
・バター………………15g
・合わせだし…………600㎖
オイスターソース(「Cook Do®️」)…小さじ1
・味噌…………………大さじ1と1/3
・黒コショウ…………少々

Directions
1.材料を切る。タマネギは2㎝角に、ブロッコリーは小さめに房分けする。ベーコンは1㎝幅に切る。
2.鍋を中火にかけてバターを溶かし、タマネギをしんなりするまで炒める。透き通るまで火が通ったらベーコンを加え、ほんのり焼き色がつくまで炒める。
3.2に合わせだしとブロッコリーを入れ、蓋をして弱火で約10分煮込む。
4.3にオイスターソースを加えて混ぜ、味噌を溶かす。
5.お椀に盛り付け、黒コショウを振る。

Chef’s Comment
タマネギを丸ごと1個使い切るところから発想したレシピ。バターでしっかり炒めることで旨味とコクを出します。豚肉の代わりにベーコンを使うので、洋風仕立てのリッチな味に。具材の野菜はお好みでアレンジしてOK。味噌は白味噌か合わせ味噌がおすすめ。

2.丼 ダブル食感の麻婆丼

挽き肉とブロックで、食感も楽しいピリ辛麻婆。

山田英季 麻婆丼

Ingredients (2人分)
・ニンニク………1片
・ショウガ………5g
・長ネギ…………1本
・ニラ……………2本
・豚ロース肉……1枚(120g)
・豆腐……………1丁
・ゴマ油…………大さじ1と1/2
・豆板醬…………大さじ1と1/2
・味噌……………大さじ2
・粉唐辛子………小さじ1/4
・醬油……………大さじ1/2
・豚挽き肉………150g
・水………………180㎖
・水溶き片栗粉…大さじ3(水、大さじ2:片栗粉、大さじ1)
・ゴマ油(仕上げ用)…大さじ1/2
・ご飯…………2膳分

Directions
1.材料を切る。ニンニクは皮をむいて芽を取り、ショウガも皮をむき、合わせてみじん切りにする。長ネギは、斜めに切れ目を入れてみじん切りにする。ニラは、粗みじんに切る。豚ロース肉は5㎜幅に切る。豆腐はあらかじめ水を切っておき、2㎝角に切る。
2.鍋を中火にかけ、ゴマ油とニンニク、ショウガ、長ネギを入れて、香りが立つまで炒める。
3.2に豆板醬、味噌、粉唐辛子を入れて、木べらで混ぜながら炒め、全体をなじませる。醬油を加えてさらに炒める。
4.3に豚挽き肉と豚ロース肉を入れて炒め、肉の表面に火が入り、味噌が絡んだら、水と豆腐を加えてひと煮立ちさせ、中火で約5分煮る。
5. 火を止めて水溶き片栗粉を回し入れ、豆腐を崩さないように木べらで混ぜる。再び中火にかけて、沸騰してから約1分火を入れ、仕上げにゴマ油を回しかける。
6.丼にご飯、麻婆豆腐を盛り付け、ニラをのせる。

Chef’s Comment
手切りした豚ロースを加え、肉々しく食べ応えのある麻婆豆腐。甜麺醬や豆豉がなくても、粉末の唐辛子を加えることで、鮮烈な辛味の効いた本格的な味わいに。少ない水分量で調理するのでだしを使わなくても凝縮感のある味になります。

3.麺  肉2倍のカレーうどん

牛肉エキスが沁みる、やさしめカレーうどん。

山田英季 カレーうどん

Ingredients (2人分)
・ショウガ……………5g
・長ネギ………………2/3本
・牛肉切り落とし……200g
・合わせだし…………600㎖
・砂糖…………………大さじ1と1/2
・酒……………………大さじ2
・醬油………………大さじ3
・牛肉切り落とし……200g

(カレーミックス)
・片栗粉………………大さじ1
・カレー粉……………大さじ1
・オリーブオイル……小さじ1/2
・水……………………大さじ2
・冷凍うどん…………2玉

Directions
1. 材料を切る。ショウガは、千切りにする。長ネギを4等分に切り、3つを縦に四つ割りにする。残りは、薄く輪切りにし、盛り付け用に分けておく。
2. 鍋を中火にかけ、合わせだし、砂糖、酒、醬油を入れて沸かす。ひと煮立ちしたら、牛肉とショウガを入れ、蓋をして弱火で約10分煮る。
3. 煮ている間にカレーミックスの材料を小さめのボウルに入れ、粉っぽさがなくなるまで混ぜておく。
4. 肉を10分煮たら、四つ割りにした長ネギを2に加え、さらに約3分煮る。
5. うどんを準備する。冷凍うどんを600Wの電子レンジで3分半温め、4に加え、強火でひと煮立ちさせる。
6. 火を止め、5に3を加えてとろみをつける。
7. よく混ぜて、もう一度ひと煮立ちさせる。
8. 器に盛り、輪切りの長ネギをのせる。

Chef’s Comment
関東風のうどんつゆ。牛肉をしっかり煮込むことで、牛肉からもだしが出て、それだけでおいしい味のベースが完成。あとはカレーミックスで味ととろみをつけ、オリーブオイルを少量加えることで滑らかに。少し控えめの味に仕上げて、食べるときにガラムマサラや唐辛子をかけるのもおすすめです。