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雨宮零のよろず相談室:留まるか、転職か?はたまた独立か?46歳の選択

占いには、古人の智慧が詰まっている。連載「雨宮零の改運指南」の雨宮零さんが、東洋占術を使ってBRUTUS読者の悩みに答えます。第1回は、このまま留まるか、転職か、はたまた独立か?キャリアで悩む相談者が登場。鋭く厳しく回答する雨宮さんの言葉に刮目!

edit&text: Motoko KUROKI / illustration: Stomachache.

「小さなデザイン会社に勤めて17年目です。4年ほど前から会社以外の仕事もフリーランスとして受けているのですが、最近、よく仕事を回してくれる人が『うちに来たらいいのに』と言ってくれています。今のまま会社に残るか、会社を移るか、はたまた独立か。違う場所でチャレンジしてみたい気持ちもありますが、お金に困る可能性を思うと怖いです。できれば小金持ちになりたいです」
(46歳・男性、会社員)

雨宮

キャリアに関するお悩みですね。

さてこの相談者さん、まずお生まれだけ見てみると、持って生まれた特性としては、お勤めよりも、自分で仕事をつくる個人事業主に向いているかもしれません。

編集K

あ、そこはもうはっきりわかるんですか。

雨宮

いえ、そうでもないんです。この人のお生まれは実はけっこうなんとも言いづらいというか、私の使っている占いで見ていくと、占い的な出生時間が2つの時間枠のちょうど間なんです。しかも、場合によって*日付まで変わってしまうんですね。

ですから、この方からは生年月日と出生時間などの情報をいただいていますが、ご本人にお会いしているわけではないので、これからお話しすることは多少の幅を持って読んでいただきたいです。

編集K

ふむふむ。まず、連載コラムでも書いていただいていますが、ひとくちに金運や財運と言っても、サラリーをもらうことと、フリーランスや個人事業主、つまり自分で仕事をつくる仕事とで変わるんですよね。

雨宮

はい。

それでこの方にはまずはいったん、今年(2022年)の様子を見てほしいです。それによって、お勤め向きか、それともやはり独立向きなのかを判断したいです。

編集K

今年のどんなところを見ればいいんですか?

雨宮

まず、今年稼げるのであれば、独立ではなくお勤めのほうがいいですね。

編集K

あれ、今年稼げたら、それで独立に向くというわけではないんですか?

雨宮

今年2022年に巡ってきているのが、この人にとって一種の金運の星なんです。これがよく出るか悪く出るかで判断したいところ。

編集K

あれ、金運の星が巡ってきて、それが悪く働くということがあるんですか?

雨宮

運というのは気の働きのようなものなので、それが人によって良く働くことも悪く働くこともあるんです。「金運の星が来た=単純に金運アップ」ではないんです。なので、支出が増えるとしたら、それは、今回巡ってきた、「“とある”金運の星」がこの人にとってはマイナス方向に働いているということ。

相談者さんの場合は、この星がマイナスに働いているなら独立タイプ、プラスに働いているならお勤めタイプ、と考えられそうなんです。

編集K

具体的には何を見ればいいですか。

雨宮

今年、持ち出しが多いかどうかを気をつけてみてほしいです。また、疎外感を受けるようなことがあった、上司との関係が2022年2月の立春以降に悪化した、体調不良、などがあったかどうかも。そういった場合は、お生まれ的には、個人事業主タイプといえます 。それはこの巡ってきた金運の星がマイナスに働く人だということで、生まれ持っての特性としては、自分で独立して仕事をつくったほうがいい、と読めます。

編集K

おお、なるほど。逆に、もし今年結構仕事が取れるな、稼げるなと思ったら、それは、星の巡りの働きで金運・自分で稼ぐチャンスが巡ってきているからなんでしょうか。

雨宮

そうですね、お勤め型の人でも頑張ったら稼げるというタイミングだったというか。今年稼げているということであれば、この方がもともと持って生まれた稼ぎ方は勤め人に向いていると考えられそうなんです。

編集K

「持って生まれた星」というのは、どんなものなんですか?

雨宮

ゲームでいうところの、キャラクターの初期ステータスのようなものですね。

編集K

けれど、この相談者さんは、雨宮さんの占いで見ると、持って生まれた星の読み方が複数パターン考えられるということでしたよね。

雨宮

はい。ただ、考えうるどの命式(生年月日)を見ても、そしてこの相談の文面からしても、私はこの方は「迷いがちで行動を起こせない傾向にあるのでは」と感じました。だから、「どっちつかず」になりやすい。

編集K

あら!?(笑)

雨宮

これだと、「どかんと財を成したい」というのはなかなか難しいです。金運的な話に絞って見ると、この人っていいところも悪いところもどちらもあるんですね。結局ご本人を見てみないとなんとも言えないところはあるんですが、推察される性格的な特性と運の状況から見た提案としてはやはり、「二足のわらじ」ではないかと。

編集K

とすると、現状が結構合っている?

雨宮

そうですね、「絶対こっち」という人ではないなと。占いをしていると、やっぱり「絶対こっちがいいですよ!」と言いたくなる方もいれば、「あなたの好きな方でいいよ」という方もいるんですよね。

編集K

確かに、この人は相談文を見ても、すごく悩んでいたり切羽詰まっているという雰囲気ではありませんよね。

雨宮

そうそう。また、こういったキャリアにかかわる話には鑑定でもよく触れますが、相談をお受けしてきた経験則で言うと「独立が怖い」という人は大抵ご苦労なさっています。

編集K

ひいっ。

雨宮

そんなの、みんな怖いんですよ。でも、リスクを取ってこそなんです、お金は。

不思議なもので、「こっちのほうが楽しいから、安定収入を手放してもこれをやりたい」と、前向きにワクワクしているときの選択はだいたいうまくいく印象です。不安定や怖さも込み込みで、楽しみながらやる方は、「なんとかしよう!」という気概もありますね。逆に、「現状が嫌で……」とか、今がただ嫌で逃げたいからという動機だと、うまくいきづらい。

この方には、独立後仕事の声をかけてもらえなくなったときに自分で仕事をつくれるか、仕事が減っても大丈夫なくらいの貯金はあるのか、稼がなければいけない最低限はいくらなのか、やっていけるのか、そしてそういう不安定さも楽しめそうか、ぜひそれを考えてみてほしいです。もう、マインドセットの問題なんですが。「怖い」と「チャレンジしてお金持ちになりたい」の、どちらの気持ちが大きいか。

編集K

この「小金持ち」という言い方も、野心爆発ではないというか、思い切りはないですよね。

雨宮

そうですね、だから私もこの文面だけを見ると、占い以前に、お勤めの方が気持ち的に落ち着くタイプじゃないでしょうか?とは思います。「小金持ち」というのも、それはどのくらいなんだろうと具体的に自分で考えてみてほしいです。変に遠慮せず、「お金持ちになりたい!」でもいいんですよ。

人は、わからないから不安になるわけで、将来について感じる不安は何なのか、その不安はどうやったら消えるのかをきちんと考えていけば、自然と不安もなくなります。こういった部分は占い以前の問題なので、仕事を「もらう」といった受け身ではなく、ご自身で仕事をつくれるか考えることをオススメします。

この相談に限らずですが、「何もせずともうまくいきますか?」とか、「どっちが私は幸せになれるんですか?」というように、はなから自分の人生を占いや他者に投げるもんじゃない、というところではあります。選んだほうを成功させたり、幸せにするのは自分!

編集K

なるほど。おっしゃる通りすぎて、耳が痛いです。ところで、生年月日の占い以外にも、易などで見ていただくこともできるんでしょうか。

雨宮

できますよ!では、この相談者さんへのメッセージについて易を立ててみますね。

……「天山遯(てんざんとん)」と出ました。

編集K

おぉ、それは、どう解釈されますか?

雨宮

うーん、やはり逃げたい気持ちが強いということではないでしょうか。この卦は「さっさと逃げる」「逃げるが勝ち」というふうにも解釈されますが、質問のなかには会社に残るという選択肢もありますし、私はこの卦は「現状から逃げたほうがよい」というアドバイスが出たものではなく、相談者さんの気持ちや姿勢が表れたものでは、と思いました。

このお悩みで言えば、今の会社を辞めたあとに、失ったもの……安定的収入などを取り返す気概があるのか、そこを自問したほうがいいです。

編集K

現実を変えたい気持ちがあるのは確か、でもなにをどうしたいかという話ですね。

雨宮

先ほどこの人は「迷いがち」「どっちつかず」になりやすいと言いましたが、どっちつかずというのは、自分次第でいかようにもできるということでもあるんです。

逆に言えば、そこに自分の意思がないと、それこそどっちつかずの人生になってしまいます。だから、やっぱり、考えることから逃げるな、とお伝えしたいです。

編集K

ずしんと来ます……。さっさと逃げたくても、逃げちゃダメだ!

まとめ

占い的には独立も、勤め人も、自分で決めればどちらにでもなれる人。まずは2022年の収入具合や自分のコンディションを確認しましょう。ただ、占いの前に自分の行きたい方向を定め、具体的に不安を解消すること!自分が前向きな気持ちになる選択を。考えることから逃げるべからず!