島での丁寧な暮らしを支え、
楽しむためのショップ。
香川県に位置する、船でしか渡れない離島、小豆島で唯一のセレクトショップ〈うすけはれ〉。さらに山奥にある交通の不便さを差し引いても、行く価値のある店である。店主は上杉新さん、道代さん夫婦。
道代さんが小豆島で生まれ育ったこともあり、東京でデザインの仕事をしていた新さんも移住を決意。約30年前に閉業していたそうめん工場跡地を有効活用し、2人で手を加えながら2017年にこの店をオープンした。
2階にはギャラリースペースも併設している元そうめん工場の店舗。取材当日は植物とアクセサリーをテーマにした企画展が開かれていた。 
毎年型が変わらない〈ヒヒヒ〉のシャツや、裾が絞られた〈日向〉の「クリリンパンツ」のオーダーサンプルなどが並ぶ。
開店当時はセレクトショップらしく、東京で買い付けたファッションブランドのアイテムを多く展開していたというが、島での生活を経て、よりコンセプチュアルに。
「今ではもの作りを丁寧に楽しんでいる人のものであるかどうかを重要視しています」と道代さん。型落ちを生まないヒヒヒや、セミオーダーでオーバーオールなどを手がける尾道の日向といった、島で野良作業にも使えて、なおかつハイセンスなものに厳選。新さんが害獣（鹿、猪）の皮を加工して製作したレザー製品も見られる。
「畑を荒らす、害獣が持つネガティブな要素をポジティブに変えたかった」と新さん。ほかにも小豆島の作家が作ったもんぺや座布団カバーまでが展示販売されている。
建物、服、小物などがいかに丁寧に作られているかを2人から聞いて品物を手にしたら、帰りの船ではどこの店へ訪れた時よりも心が清くなったように感じるはず。
