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岐阜〈エウレカ ファクトリー ハイツ〉歴史ある繊維問屋街に、現代のリアルクローズが集まる店

地方のセレクトショップがますます面白い。ブルータスが主観で絞り込んだ、とっておきのお店をご紹介します!

Photo: Yasuyuki Takaki / Text: Yu-ka Matsumoto

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歴史ある繊維問屋街に、
現代のリアルクローズが集まる店。

岐阜県が誇る地場産業の一つがアパレルだ。高度成長期真っただ中の1969年に、市内2番目の問屋街として誕生したのが〈岐阜繊維卸センター〉である。

岐阜駅から徒歩25分、今も当時の面影を偲ばせる築50年以上のビルが連なるエリア。趣ある一角にポツンと佇むのが〈エウレカ ファクトリー ハイツ〉だ。

岐阜〈エウレカ ファクトリー ハイツ〉外観
当時の繁栄を思わせる渋いビル群。


店主の小林徹さんいわく「駅前や、既にほかの店があるエリアで開けたくなかった。それよりも物件自体のパワーを感じられる場所で勝負したくて」。店の裏には6台分の駐車場もあるため、週末には三重や滋賀など県外からのお客さんも多く訪れる。

「岐阜市は町のサイズ感のわりに、暮らしを豊かにするお店が点在しているんです。骨董屋、パン屋、コーヒー屋と、ぐるりと車で町を回って楽しめる。その中の一つにうちの店が入ればいいなと思っています」。

岐阜〈エウレカ ファクトリー ハイツ〉店主・小林
フットワーク軽く日本中を移動する店主の小林さん。ファッションだけでなく各地のおいしい店にも詳しく、時にはポップアップイベントを開いて紹介している。後ろの壁絵は、アーティスト・山口幸士さんが2014年に描いた長良川と金華山を望む岐阜の風景。

町の特徴と店の所在地は、服をセレクトする目線にも反映される。

「ローカルなエリアにあるので、風景の中で浮いてしまう奇を衒ったファッションは違うと思う。あくまで日常であることを重視して、時間の経過で損なわれることのない上質なアイテムを揃えたい。
たとえ服に興味がない人にも、好感を持ってもらえるセレクトを意識しています」。

元問屋ならではの広い店内にはメンズ&レディースの服やシューズが美しく展示され、ゆったりとした買い物が楽しめる。

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