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岩手〈1989(イチキュウハチキュウ)〉東北の老舗セレクトショップが、世界に羽ばたく

地方のセレクトショップがますます面白い。ブルータスが主観で絞り込んだ、とっておきのお店をご紹介します!

Photo: Daisaku Ito / Text: Shigeo Kanno

東北の老舗セレクトショップが
世界に羽ばたく

花巻市生まれのオーナー平賀和彦さんは、1989年、21歳の若さで、勤めていたフォルクスワーゲンのレストア屋を辞め、その頃は東京でもまだ珍しかったセレクトショップを岩手県で開業。当時の店名は〈Bean’s〉だ。

岩手 花巻市〈1989〉オープン時に撮影した店の写
1989年のオープン時に撮影した店の写真。ストライプのファサードと大きなショーウィンドウが特徴的。車は、当時の平賀さんの愛車。

「お客さんは、ほとんどが顔見知り。長くやっているんで、昔から来てくれている人の家族までうちで買い物をしてくれています。あと、同級生の息子とかね(笑)」と平賀さん。開業当時は自身が好きだったヴィンテージ古着とネペンテスを中心とした品揃えだったが、歴史を重ねるごとにラインナップは増えていった。

取り扱いの幅は広いが、いずれも顧客の反応はいい。“東北の人は保守的だから根づかせるのが大変”と苦労を口にする平賀さんだが、長きにわたり岩手のファッションシーンを作り上げてきた平賀さんのセンスにみな信頼を置いている証拠だ。そんな老舗も、2011年の東日本大震災と現在のコロナ禍で、店作りを大きく見直したという。

「震災の復興もまだなのに、コロナ禍が長引いていますからね。服に対する価値観も、お客さんの心境にも変化がありました」

逆境を乗り越えるべく、システムエンジニアだった現店長の遠藤駿さんがECを再構築し、現在ではアジア圏からアメリカまでユーザーの輪が広がった。地元で培ったスキルと顧客を大切に、世界へ羽ばたく老舗の動向は見逃せない。

岩手 花巻市〈1989〉オーナー平賀さん
オーナーの平賀さん。ファッションはもちろん、最近は、植物の販売にも力を入れる。3階の事務所フロアには、植物専用の温室を完備するほど夢中になっている。