按田優子(〈按田餃子〉店主)
全幅の信頼を寄せるかのように「すべて熟知」と言葉を交わす殺し屋の主人公と仲間。知恵を授ける長老的存在が発しそうなその言葉に衝撃を受けました。会わない期間が長くても、互いの身に起こったすべてを受け入れる。そんな態度としてこの言葉がしっくりきました。今でも親友とのチャットの締めくくりは「すべて熟知」です。
幅允孝(ブックディレクター)
この才能(ギフト)こそが「読む人の美点」だと書かれています。この言葉は本というメディアをどう捉え、どう差し出していくべきかを考える際の指針になっています。本を取り巻く周縁のテクノロジーは日々変容し、世の中における本の立ち位置は変化していくでしょう。この軸足さえぶれなければ、本は必要とされるのではないでしょうか。
高山都(モデル)
数年前の誕生日に友人からかけてもらった言葉。私はどんな時も、風向きを変えるのは自分次第だと思っています。しんどくても泣きたくても、まずは笑ってみる。自分で舵を切れるうちは、なんとかなる。どんなに辛くて苦しい時も、この言葉をお守りのようにし、誰かが辛そうな時は、おまじないの言葉だよ、と贈っています。
森岡督行(〈森岡書店〉代表)
「“誠実”“素直”“明るい”。そんな素朴な言葉こそ大人になっても大切だ。それは知識とか体力、技術と同じくらい大事で、身につけるのが難しい」。20代前半に就職した書店の隣に店を構えていた古書店の店主の言葉を今もたびたび思い出します。以来25年余り書店を続けていられるのは、この言葉のおかげかもしれません。
植本一子(写真家)
29歳のA子さんと、彼女を取り巻く大人たちの恋愛模様を繊細に描く漫画『A子さんの恋人』の最終巻に出てくる言葉です。今の時代、2人の人間が一緒に生きていくのに、たくさんの方法があるといいなと思います。私自身も、一対一でなくても、たくさんの人と一緒に生きていく方法を共に考えられたらと、いつも思っています。
花井祐介(アーティスト)
劇中、家族や自分の将来について思い悩む少年が「僕って変かな?」と問う。それに対して仲間が返す一言。絵を描く仕事を続ける中で「こんなヘンな絵を描いて、どうするんだろう……」と嫌になることがよくあるんです。子供時代に観た時は何も思わなかったのですが、大人になった今、この言葉にたびたび救われています。