創業メンバーに直接聞いた〈イソップ〉ブランドのこと、新しいフレグランスのこと

おしゃれな店舗にグラフィカルに並ぶパッケージ。〈イソップ〉は大好きだけど、知っているようで、実はよく知らない。今回は、ブランドの成り立ちから、製品作りの哲学、そして最新のフレグランスに至るまで、気になることを創業メンバーでCCOのスザーン・サントスに聞いてみた。彼女の答えから見えてきたものとは。

Conversation with Suzanne Santos(CCO)

イソップ創業メンバーのスザーン・サントス
スザーン・サントス/Aesop CCO(チーフ カスタマー オフィサー)。1987年の設立当初からの創業メンバー。イソップの世界進出と、各店舗で得られるユニークな顧客体験は、スザーンが30年に渡り推し進めてきた。

端的に言って、どんなブランド?

Q

〈イソップ〉の歴史について教えてください。

スザーン

1987年にオーストラリアのメルボルンで設立されて、今では20以上の市場に200を超える直営店を出しています。百貨店カウンターは80カ所以上に上ります。

スキンケア、ボディケア、ヘアケア製品に加え、パーソナルケアやホーム製品もリリースしています。日本では2010年に青山に第1号店をつくりました。長坂常さんのデザインです。

Q

オーガニックブランドではないってホントですか?

スザーン

安全性や使い心地の良さを考慮しながら、研究を重ねたこだわりの植物由来成分と非植物由来成分を使用しています。原材料は世界で最も信頼できるサプライヤーから仕入れ、長い歴史の中で培われた科学的知見、原理および現代テクノロジーを組み合わせて、優れた品質の製品を作り上げています。

すべての製品において動物実験を行わないというポリシーがあり、リーピングバニー認証とB Corp認証も取得しています。

デザインの秘密を解き明かす

イソップ商品パッケージ

Q

なぜ、〈イソップ〉のラベルは、すべて同じようなデザインなんですか?

スザーン

創業者のデニス・パフィティスは常々言ってました。「人々は購入を検討している製品について、機能や効能についての明快な説明や、ボトルの中身、そしてその使い方を知りたがっている」と。そこで、私たちのラベルは視覚的な明瞭さと美しさを兼ね備え、そこに芸術と科学への敬意を示す細やかなしるしとしてクオート(格言)を記載しています。

また私たちの哲学として、知的なデザインが日々の暮らしを向上させるものであり、機能性の完璧なパートナーであると信じているのです。

Q

ボトルに関しては、こだわりはありますか?

スザーン

創業した頃は、このタイプのアンバーボトルは既に業界ではあまり使われていませんでした。容器は機能的でミニマル、そして謙虚なものでなければなりません。

ガラスはリサイクルが容易であることも、〈イソップ〉のジャーやボトルの素材として好まれてきた理由のひとつで、ガラス製のパッケージは、可能な限りリサイクル素材を採用しました。ペットボトルも、消費者から回収された再生材を97%以上使用して製造しています。

サプライヤーとパートナーシップを結び、再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)を供給してもらうことで、通常であれば埋め立てられてしまう材料に需要と価値を生み出し、循環型システムの構築に繋がっています。

他のブランドとは明らかに違う、お店のこと

Q

なぜ、お店ごとに違うデザイナーに内装をお願いするのですか?

スザーン

私たちは社内と外部の建築家、両者と仕事を行っています。店舗のデザインについては、誠実で確かな方法を追求し、五感を刺激し、心と体の健全なバランスを保つことを心がけています。特定の素材や技術に精通した専門家と協力したり、その分野で優れた建築家やデザイナーとパートナーシップを組んだりすることもあります。

そのため、〈イソップ〉のストアは二つとして同じものはなく、それぞれがその土地や地域の特徴を反映しています。

Q

お店に行ったら、スタッフがいろんな相談に乗ってくれました。接客で一番大事にしていることを教えてください。

スザーン

お客様のためになる知識や処方、また、五感に働きかける体験を提供することに努めています。専門知識を持ったコンサルタントが、お客様の肌の悩みを理解し寄り添い、最適な知識や情報を提供することに注力しています。

お店の中心となるのはシンク。ここでは、すべての製品を試すことができ、使い心地をお伝えするとともに、製品の効能を最大限に引き出していただくための使用方法をご説明しています。これは〈イソップ〉のカウンセリングを象徴する特徴で、製品に関する会話のほとんどがここから始まります。

話題のフレグランスのことも知りたい

イソップのフレグランス

Q

Q.Aesopの扱う「香り」はかくあるべきという、コアみたいなものを調香師にオーダーしましたか?

スザーン

イソップのフレグランスは、フランスの著名な調香師であるバーナベ・フィリオンやセリーヌ・バレルとのコラボレーションで誕生した、7つの斬新で魅力的な香りからなります。フレグランスをつくることは叙情的であると同時に科学に根ざした作業であると捉えています。

多面的なインスピレーションから始まり、それを表現してくれる可能性のある原料に細心の注意を払いながら、最終的には私たちの多岐にわたる製品や哲学と完璧に調和した、複雑で繊細な配合を完成させました。

Q

音楽はまだしも、家具、鉄の錆、アスファルト、想像を遥かに超えたところにインスパイアされているのはなぜですか?

スザーン

あまり明確ではないもの、“私たちの身の回りにある一見ごくありふれた、あるいは、いわゆる「普通」のもの”が、最も素晴らしい結果や考えを生み出すことができます。私たちの環境や風景の「目立たない」側面が、深い記憶や感情を呼び起こしてくれるのです。

特に新しく出たフレグランスシリーズ、アザートピアスにおいては、香りの持つ“誘う(いざなう)力”をより深く掘り下げ、周囲の環境との関係性を見つめるよう私たちに問いかけるような、非常に繊細で複雑な配合を研究・開発しました。

Q

アザートピアスは、純度をあげながらも香りの輪郭は曖昧にしています。ある種、相反するような作業に思えますが。

スザーン

「ここではないどこか」というテーマで、香りを纏う人を現実と想像が交錯する世界へと誘います。それぞれが独自の物語を語ると同時に、纏う人をボートから岸へ、そして自然の力に凌駕された荒廃の地へと送り出します。五感が養われ、それぞれの世界の境界が曖昧になっていきます。

この非常に複雑な香りを生み出すために、可能な限り新しい革新的な技術を追求し、植物と科学の力を掛け合わせ、斬新で魅力的な香りに仕上げています。

Q

調香師バナーべ・フィリオンは感覚的なことを追求しつつも、どこかロジカルな印象を受けます。実際はどのようなやり取りの中で新しい香りを生み出しましたか?

スザーン

バーナベとは長年にわたって、多様な製品を世に送り出してきました。私たちは、美的傾向と文化的関心が似通っていて、一時的な流行よりも深みがあり、長く続くものに価値を見出します。企画や開発のプロセスは常に活気に溢れていて、そんな中から〈イソップ〉初のオードパルファム コレクションとしてアザートピアスも生まれてきました。

Q

3本それぞれ、どんな人につけてほしいという、イメージはありますか?

スザーン

複雑で繊細な私たちのフレグランスには、ジェンダーの境界線はありません。刺激的なアロマを楽しむすべての人にお使いいただけます。それぞれに、ドライ、ウッディ、クリーン、フレッシュなノートを独自のバランスで配合することで、アザートピアスの幅広い魅力を表現しています。

フレグランスに関しては、処方というよりも表現であり、フレグランスに対する個人の反応はどれも皆、独特で私的なものです。ですから、他の製品とは違ってパッケージもシンプルにしています。

イソップ・ジャパン 

TEL:03-6271-5605
aesop.com

*多くの詳しい情報がWebサイトで開示されています。