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WORK & HEALTH 健やかに働くということ。宇野常寛×高山都

フィジカルやメンタルを健康に保つことは仕事の質を高め、安定させるのはもちろん、個人と社会の関係を心地よいものへと変えていく契機となる。普段から“WORK&HEALTH”のつながりを意識し、実践している評論家の宇野常寛さんとモデルの高山都さんに話を聞いた。

art direction: Yuta Ichinose / photo: Keta Tamamura / illustration: Aketarashiromekun / text: Masae Wako

心身のコンディションがアウトプットの質を決める。 ビジネスパーソンの最重要課題は“健やかさ”。

高山都

今日お話ししたいのは、“健やかに働く”ということについて。フィジカルやメンタル面、もっと言えば、個人と社会の関係まで、いろんなヘルス(健康)があると思うのですが、宇野さん、仕事と健やかさはどう関わってくると思いますか?

宇野常寛

まず、仕事においては量より質、生産性=創造性なのは多くの領域で前提になっていて、この世界では自分のコンディションがアウトプットの質を決めると思います。

高山

私は、10代20代の頃は忙しくてもよく眠れたし体調もキープできていたのが、年齢を重ねるにつれ、そうじゃなくなって。ああ、健康だからいい仕事ができていたんだな、と。それからは運動も始めたし、食事や睡眠も意識的にとるようになりました。

宇野

僕がどんなに忙しくても崩さないように決めているのは徹夜しないこと。朝起きて、体力的にベストな午前中は、メールも電話もブロックして、今やりがいを感じている仕事を納得がいくまでやることにしています。

高山

仕事の仕方や休み方を自分で判断するのは大事ですよね。今日お邪魔しているアトラエでは、自分の体調や予定を鑑みて働き方や時間を決められるそうですよ。それがメンバーの最良のパフォーマンスにつながるのであれば、「夕方から出社」でも「今週は一日4時間労働」でも、「好きなだけ働く」でもいい。私、自分のことを自分で決められる、“自在性”や“裁量権”って、すごく大切で貴重なことだと思うんですね。これが保証されていないと、給料や労働時間に恵まれていても、健やかに働くのは難しいと思うんです。

宇野

「パフォーマンスを出せる環境を、自分でつくる」という考えがベースにあるんです。これは個人も会社もそうですが、大変なことや難しい局面に遭った時、支えになるのは、その人や組織の“健やかさ”なんですね。そのためには普段から自分やチームを整えておくことに時間やお金などのリソースを投資しておくことが大切。個人で投資するのは難しいから、会社がそれをやる方がいいと思います。朝から夜まで働き詰め、気合で乗り切ろうみたいな感覚は僕は苦手。歯を食いしばって徹夜するより、8時間寝て短時間集中する方が絶対いいものができますよ。

健やかなメンタルのためには “時間的な自立”が必要。

高山

私はマラソンの仕事がきっかけで普段も走るようになったのですが、集中力や持久力がついて、風邪も引きにくくなりました。

宇野

僕がきちんと走り始めたのは40代に近づいてから。まずよかったのは、自分だけの世界に没入できること。自分で自分の速度や時間をコントロールできるし、何より“同期”しないんです。みんながSNSで同じ時間に同じものを見て、同じようにコメントして、寂しさを紛らわしたりストレスを発散したりするという窮屈な時間から自立できる。

高山

自立することで精神的に健やかになる感覚はありますよね。仕事では、他人のやり方を尊重するとか、他人の領域に踏み込みすぎないことが重要で、走っているとそれが自然に身につくんです。

宇野

今ってリモートワークのシステムも整って、空間的にはある程度自由になったじゃないですか。アトラエでも以前からオンラインでの仕事が可能だったそうですし、海外を拠点に働いている人もいるそうですね。そうなるとこれから重要になるのは空間的に自由になるのではなく、むしろそのことで時間的に自由になることだと思います。誰かの顔色や言葉を窺って、反応するのではなく、自分の時間を自分で使えることですね。だからこそ僕にとっては、走るという、とても自由で孤独な時間を生活の中に持つことが、すごく大事なんです。時間的に自立することで、自分のやりたいこと、やるべきことにノイズなく向き合うことができる。

宇野常寛 高山都 アトラエ

“水曜日は働かない運動”を 全世界に提唱したい。

宇野

僕、“水曜日は働かない”という運動を全世界に発信しようと思っていて……。

高山

えっ?

宇野

水曜、土日を休むと、すべての日が休日に隣接する。そもそも、“会社と家庭”“オンとオフ”みたいな、社会とつながる回路が一つしかない働き方の窮屈さが、人間関係や社会を憂鬱にしていると思うんです。働くことはあくまで暮らしの一部だと考えた方がいいし、結果的にその方が仕事の質も上がるはずです。

高山

たしかに。私もモデルやタレントをしたり、料理本を監修したりと社会とのつながりはたくさんある。いろんな人と会うことで、社会とつながっている感覚は強くあります。

宇野

僕は、仕事の憂鬱を健やかな状態にするには、収入源や社会との関わり方を分散するのがいいと思っています。週3日オフィスに通いながら起業してもいいし、自分の仕事とは全く違うフィールドで表現活動や社会貢献をするのもいい。社会との回路を複数持ち、それぞれに、距離感や進入角度を自分で調節できる状態が好ましい。僕が思うに未来の社会に必要なのはこういうことです。

高山

正解は一つじゃないというスタンスの方が健全ですよね。アトラエでは3年勤続すると長期休暇がとれると聞いたのですが、そこでの自由な活動や新たな挑戦が“複数の回路”につながるのは素晴らしいなあ、と。

宇野

逆に「仕事」だから得られるものも大事だなと思うことも多いんです。働くことで自分が世の中に対してどう関わっているのか、仕事を通じてどう自己実現できたか。必ずしもそれが「生業」でなくてもいいと思うのですが、仕事を通じて、世界に素手で触れている感覚を得られるのって大事だと思います。働くことは暮らしの一部だと実感できるんです。反対に、自分がプロとして働くことから切り離された“言葉”だけで世界とつながろうとすると、SNSなどで、歯止めが利かず暴走してしまう。

高山

そもそも人生のいちばん真ん中にあるのは、働くことや暮らすこと。「働くのが楽しいから働く」という状態がいちばん健やか。

宇野

そうそう。僕にとっては書くことが世の中とつながる回路でもあるし、最大の快楽でもあるので、その時間をいかに贅沢なものにできるかを常に考えています。

高山

みんながそういうふうに働けたら素敵。自分と他人、自分と社会は合わせ鏡だから、まず自分を健やかに保っていれば、社会全体にも良い循環を与えると思います。

宇野

このアトラエのオフィスでも、植物があるソファスペースやお店みたいなバーコーナーで仕事をしている方がいて、いいなあと感じたのですが、それで思い出したのが出張で台湾に行った時のこと。台北のはずれに本屋とカフェが集まっている学生街があって、若者たちが楽しそうに勉強しているわけです。その様子が本当に心地よくて、一日中カフェに座り、こういう若者たちの声に応えるものを作りたいなって、次の本の企画書を書いていました。あの充実感は忘れられない。働く時間や空間こそ贅沢にしようと考えると、仕事の質も高くなるし、そして仕事の自分の中での位置づけも自然とチューニングすることになる。そのことは結果的に自分と世の中とのつながりも整えることになる。僕はそう思います。

アトラエは、「ストレスなく活き活きと働き続けられる環境や制度作り」にこだわっている。以下の「サバティカル3」はじめ、勤務中のジム、サウナ通いや、昼休みにオフィスでシエスタ(!)する社員も。

プロスポーツチームを通じて社会貢献。

アトラエ アルティーリ千葉
健やかな働き方を支えるスポーツを通じて、社会や地域に貢献したい。そう考えるアトラエではプロチームをサポート。子会社が運営するバスケットボールチーム〈アルティーリ千葉〉が2021~22年シーズンからB3リーグに正式参戦する。

休むことが仕事のインプットになる。

アトラエ サバティカル3
アトラエには勤続3年以上で3年ごとに1ヵ月の有給休暇を取得できる「サバティカル3」がある。写真はインドでプログラミング×日本語教室の事業を行う起業家と会った社員の様子。興味ある分野の知識を深める機会として制度を利用した。