
©老屋顔 Instagram:@oldhouseface
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台湾の街にひっそりと咲く。窓辺を美しく飾る、“鉄窓花”
台湾の街を少し見上げると、民家やビルには鉄の窓飾りがあることに気づく。これは日本統治時代に、日本の職人が面格子の文化を台湾に伝えて独自に発展した「鉄窓花」と呼ばれるもの。元は防犯対策で取り付けられたという経緯に反し、見た目は華やかでファンシーだ。
鉄窓花は、家主のメッセージやアイデアが垣間見えることも魅力の一つ。すべてが鉄工職人の手作りで、型はなくオーダーメイド。そのためモチーフは、定番の草花や幾何学模様から、自動車やメガネなど商売の看板代わりになるものまで多種多様だ。どのようにオーダーしたのか、想像しながら歩くのも楽しいだろう。
運動場脇にある教室の、野球がテーマの鉄窓花。

平安を象徴する花瓶の中に、山が描かれている。

幾何学模様は、経済が発展した時代に増加した。

富を象徴するというイエローが目を引く。

ベーシックでシンプルな幾何学模様。

花瓶は縁起物として、建築装飾によく見られる。

富士山柄は日本統治時代の名残で多く見られる。

細い手足で、軽やかに踊るダンサーたち。

家主が好きな曲を鉄の楽譜で表現したのだろうか。
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100年以上の歴史を持つ鉄窓花だが、錆(さ)びやすく手入れが面倒で、災害時の避難の妨げになるなどの問題から近年は取り外しが進んでいる。一方で、伝統を重んじて大切に残している家も少なくない。鉄窓花は、安全と継承の狭間で、今もなお台湾の街並みにひっそりと花を咲かせているのだ。