思わず考えさせられてしまう、抽象性の高さに魅せられて
「ショッピング中毒なんですよ」と言う深野一朗さんが、現代アートの収集を始めたのは2011年だ。家具や食器などを収集していたが、地震で大半が壊れてしまった。ものを買い集めること自体に疑問を感じ「物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさ」を求め始めた。それでずっと毛嫌いしていた現代アートを見てみようと美術館やギャラリーに通い始めた。
そんな日々の中、12年に東京都現代美術館で毛利悠子の作品と出会った。様々な日用品が、電子制御で生き物のように動きだす空間だった。「劇場感がありつつも抽象性が高く、相反する要素が混在しているのが魅力。コンセプトを見せられるというよりも、ふと考えさせられてしまう。見た後、すぐに開催された展覧会で作品を購入しました」
最近は作品単体よりも作家自身をサポートするような収集方法に変化した。「購入する作品点数は減ったし、交流する作家も限られますが、その分関係が深くなりました」
毛利悠子の《Shirohebi》
